統治章典

統治章典（Instrument of Government）

統治章典は、イングランド共和国が清教徒革命時に制定した歴史的重要な法律であり、1653年12月16日に公布されました。この文書は、イギリス史上初の成文憲法として位置づけられていますが、議会からの承認を得られず、三年余りで廃止される運命をたどりました。

背景と成立過程

新しい政権構想を練っていたジョン・ランバートを中心とする将校たちは、『建議要目』や『人民協定』を参考にし、統治章典を作成しました。1653年の秋、ランバートとニューモデル軍の幹部たちがこの文書を練り上げ、12月16日にそれが公布されました。同時に、オリバー・クロムウェルが終身の護国卿に就任しました。この護国卿時代が始まると、イングランド、スコットランド、アイルランドの各共和国は、護国卿と議会によって統治されることになったのです。

統治章典は全42条から成り、国家の運営の基本を定めるものでした。護国卿の権限は非常に強力で、国務会議が設置され、その構成員は護国卿と議会によって指名されることとなります。また、議会は460議席から構成され、議員の選出や任期についても明記されていました。

議会の権限と護国卿の役割

統治章典は、護国卿と議会の共同で統治する体制をとり、護国卿は立法と行政活動の中で重要な役割を果たしました。議会が可決した法案には護国卿の同意が必要でしたが、20日を超えた場合には自動的に成立するという条件もありました。議会が閉会中の特別な措置として、護国卿が単独で立法を行うことも認められましたが、これは議会の同意を必要とするため、実質的な権限が制限されていました。

議会は選挙で選出された議員から構成されるも、その権限は護国卿に比べて弱かったのです。一方で、王党派の外国からの干渉を避けるため、選挙権や被選挙権は制限され、参与する者が清廉な人物でなければならないとされてもいました。

統治章典の廃止とその影響

1654年、第一議会が開かれた際、議会は統治章典の変更を要求し、混乱が生じました。このため、クロムウェルは妥協のため提案を行いましたが、議会との関係はついに悪化し、1655年には議会が解散されてしまいました。すなわち、統治章典は議会の承認を受けず、正統性を失うという事態に陥ったのです。

その後、1641年から続く王党派の反乱や共和主義者たちの不満もあり、クロムウェル政府は軍事的な対策を強化しましたが、効果的な安定策には至りませんでした。結果的に、財政的困難や政権の不安定さから、1656年には再度第二議会を召集し、新憲法の提案が行われました。その結果、統治章典は廃止され、新たな憲法が制定されることとなり、再び護国卿と議会の権力の均衡を図る形で制度が進化しました。

統治章典は、特にイングランドにおける統治の性質や議会制民主主義の発展に対して重要な影響を及ぼしました。

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