網代 (敷設艇)

網代（あじろ）について

網代は日本海軍に所属する敷設艇で、その名は神奈川県三浦半島の網代埼に由来します。網代は艦艇類別等級において網代型敷設艇の1番艇として位置づけられており、他の艇型には含まれていません。

概要

網代は、マル急計画に基づいて建造が予定されていた艦艇で、基本設計番号はH13です。艦はタービン主機を搭載し、出力は3,850馬力、最高速度は20ノットを目指して設計されました。基本寸法は測天型と同一ですが、設計は別物です。

戦争が進む中で、建造の時間的制約から設計は若干簡略化されました。その御蔭で竣工できたのは、最終的に網代のみであり、26隻の計画のほとんどは未着工のまま中止となりました。

艇型の特徴

網代は平島型と同じ設計要領を基にしていますが、舵の設計には違いがあります。平島型が半平行舵を採用しているのに対し、網代は平行舵として面積を増大させ、旋回半径を小さくすることが目指されました。また、機銃の数も同様で、13mmの連装機銃を1基装備する予定でした。

艇歴

網代は1943年の9月6日に日立因島造船所で起工され、1944年の3月15日に艦名が与えられました。同日、艦艇類別等級表に敷設艇として登録され、横須賀鎮守府に本籍が置かれました。

進水は4月8日、竣工は7月31日で、その後は横須賀鎮守府籍として訓練を行い、8月には横須賀防備戦隊に編入されました。9月10日からは横須賀と小笠原間の船団護衛任務に従事しました。

しかし、運命は短く、10月1日に父島への護衛任務中にアメリカの潜水艦「スナッパー」の雷撃を受けて沈没してしまいました。その後、12月10日には除籍されました。滑り出しは順調でしたが、僅か2カ月の航海後に沈没したため、その写真は現存していません。

同型艇の計画

網代型としては竣工したのは網代1隻のみですが、マル急計画ではさらに14隻の艦が計画されていました。また、改⑤計画においても12隻が予定されました。これらの艦艇には、神島や篠島、無双、波見埼などの艦名が存在しました。

改⑤計画に記載された艦艇は、網代の要目とは若干の相違があり、船体深さが増し、主機もタービンが搭載されています。また、艦砲は12cmの単装高角砲を1基、機銃には25mm連装機銃を1基搭載することが計画されていました。これにより、主な性能は以下のようになります。

• - 基準排水量：720英トン
• - 公試排水量：750トン
• - 水線長：73.3m
• - 水線幅：7.85m
• - 深さ：4.66m
• - 吃水：2.60m
• - 推進：2軸
• - 主機：タービン
• - 馬力：3,850shp
• - 速力：20ノット
• - 燃料：重油35.0トン
• - 航続力：2,000カイリ/14ノット

兵装の概要

• - 12cm単装高角砲 1基
• - 25mm連装機銃 1基
• - 九五式爆雷 36個

網代は、日本海軍の敷設艇としての役割を果たすために設計され、短くもドラマティックな運命をたどりました。その一生が、海軍の歴史に刻まれています。

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