綾小路絃三郎

綾小路絃三郎の生涯と業績

綾小路絃三郎（あやのこうじ げんざぶろう）は、1911年2月26日に大阪府で渡辺武雄として誕生しました。彼は日本の映画界で著名な俳優として長いキャリアを持ち、「極東の三羽烏」として名を馳せました。これは、彼が極東キネマで雲井龍之介や市川寿三郎とともに活躍したことから名付けられた称号です。

彼の俳優人生は1931年にスタートします。当時、彼は「浅香麗三郎」という芸名で市川右太衛門プロダクションに参加しました。そして、神田金太郎監督の『血煙一番槍』や、『悲願四目菱』で徳川吉宗役に挑み、次第に注目されるようになりました。これが彼のキャリアの出発点であり、映画界での存在感を確立する一歩となったのです。

1933年には河合映画製作社に移り、改名した「燕東三郎」として初主演を果たします。彼の演技力と存在感は見る人を惹きつけ、続いて大都映画に参加し、多くの作品に出演しました。その後、1934年には新たに設立されたエトナ映画社に移籍し、「綾小路絃三郎」と名を改め、さらなる飛躍を遂げます。

綾小路は同社の作品で4本に主演し、特に後藤岱山監督の『鬼伏せ頭巾』での役柄が評価され、彼を代表する作品の一つとなりました。さらに、同年に極東映画が設立され、彼は参加することで新たなステージに立つことになります。極東キネマでは、合計73本に出演し、特に戦中は剣戟伝説としての地位を確立しました。

1941年には『初上り長七郎駕籠』で主演を務めるが、同年に極東キネマは合併し、消滅してしまいます。そのため、彼は松竹下加茂撮影所に移動し、「松永博」の名義で新たなスタートを切りました。溝口健二監督の『元禄忠臣蔵』など、名作に出演することで、戦後の映画界でもその存在感は失われることはありませんでした。

1961年には、テレビ映画『新吾二十番勝負』にも出演し、彼のキャリアはテレビ界にも広がりました。綾小路絃三郎は、1988年10月26日に亡くなるまで、長い間日本の映画界で活躍し続けました。満77歳で、その生涯において多くの映画に出演し、日本映画界に大きな影響を与えた俳優として、多くの人々に記憶されています。

おもなフィルモグラフィ

• - 『血煙一番槍』 : 監督神田金太郎、1931年
• - 『悲願四目菱』 : 監督古野英治・白井戦太郎、1931年
• - 『大丈夫の松五郎』 : 監督根岸東一郎、1933年
• - 『鬼伏せ頭巾』 : 監督後藤岱山、1934年
• - 『霧隠忍術旅』 : 監督並木鏡太郎、1935年
• - 『月形半平太』 : 監督仁科熊彦、1935年
• - 『新月赤城街道』 : 監督稲葉蛟児、1935年
• - 『妖霊お万狐』 : 監督大江秀夫、1937年
• - 『黎明稲妻峠』 : 監督大江秀夫、1938年
• - 『初上り長七郎駕籠』 : 監督山口哲平、1941年
• - 『元禄忠臣蔵』 : 監督溝口健二、1942年
• - 『新吾二十番勝負』 : テレビ映画、1961年

彼のキャリアに影響を与えた様々な役柄や背景に触れることで、いかに彼が俳優としての魅力を発揮したのかがわかります。映画に対する情熱と彼の存在が、今なお多くの人々に愛されているのは、彼の人柄と演技力によるものでしょう。

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