綾部橘樹

綾部橘樹（あやべ きつじゅ）

綾部橘樹は、1894年（明治27年）4月18日に生まれ、1980年（昭和55年）2月14日に没した、日本の陸軍軍人です。最終階級は陸軍中将。旧姓は矢野。

生い立ちと初期の軍歴

大分県出身で、農業を営む矢野黙三郎の息子として生まれました。その後、陸軍少佐の綾部伝一郎の養子となります。中学済々黌、熊本陸軍地方幼年学校、中央幼年学校を経て、1915年（大正4年）5月に陸軍士官学校（27期）を卒業。同年12月に陸軍騎兵少尉に任官し、騎兵第12連隊に配属されました。

陸軍[[騎兵学校]]で専門教育を受けた後、1918年（大正7年）8月から翌年7月までシベリア出兵に従軍。帰国後、再び騎兵学校で学びました。1924年（大正13年）11月には、陸軍大学校（36期）を首席で卒業し、その優秀さを証明しました。

要職を歴任

騎兵第12連隊中隊長を皮切りに、陸軍省軍務局課員（軍事課）、ソ連駐在、参謀本部員、兼軍令部員、関東軍参謀（作戦主任）など、陸軍の要職を歴任。日中戦争には騎兵第25連隊長として出征しました。その後、第3軍参謀などを経て、1940年（昭和15年）8月に陸軍少将に進級。

1940年12月から翌年7月にかけては、山下使節団の一員としてドイツに出張し、軍事関係の視察を行いました。帰国後、参謀本部第4部長を経て、太平洋戦争開戦時には関東軍参謀副長としてその任にあたりました。

ガダルカナル撤退とその後

太平洋戦争中、第1方面軍参謀長であった田中新一陸軍中将が、ガダルカナル島の戦いをめぐる船舶問題で東條英機首相と対立し更迭されると、その後任として参謀本部第1部長に就任。ガダルカナルからの撤退作戦を主導しました。

その後、南方軍総参謀副長を経て、1943年（昭和18年）10月には陸軍中将に進級。第7方面軍参謀長としてシンガポールで終戦を迎え、1946年（昭和21年）12月に復員しました。1948年（昭和23年）1月31日には、公職追放仮指定を受けています。

戦後の活動

戦後は、1955年（昭和30年）3月から1970年（昭和45年）3月まで三菱重工業の顧問を務めました。また、1955年9月24日には防衛庁顧問に就任しています。

栄典と親族

1940年（昭和15年）11月10日には、紀元二千六百年祝典記念章を授与されています。

娘婿は陸軍大尉・陸将補の小川諭。従兄には陸軍中将の矢野機がいます。

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
* 外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

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