綾錦由之丞

綾錦 由之丞について

綾錦由之丞（あやにしき よしのじょう）は、1892年5月25日生まれ、青森県南津軽郡尾上町（現・平川市）出身の元大相撲力士であり、追手風部屋に所属していました。彼の本名は斎藤由之丞（さいとう よしのじょう）で、身長173cm、体重90kgの体格を持ち、最高位は張出前頭筆頭格に達しました。得意な取り口には右四つ、吊り、投げがありました。

来歴

1913年1月、彼は追手風部屋に入門し、同年の1月場所で前相撲において初めて土俵に立ちました。その後、1916年には部屋付き親方である湊川親方の独立に伴い、湊川部屋に移籍しました。1919年1月場所で新十両に昇進し、1922年1月場所ではついに新入幕を果たします。

彼の相撲スタイルは地味でありながらも、右四つからの吊りや投げを駆使した巧妙な取り口が特徴でした。幕内下位に在籍することが多く、大きな注目を集めることは少なかったものの、1927年1月場所の2日目には横綱・西ノ海を下手投げで破り、名誉ある金星を挙げました。この瞬間は彼のキャリアの中でも特筆すべき出来事でした。

1927年10月には親方が亡くなると、後継者が決まるまで元の追手風部屋に戻ります。その後は十両に陥落し、1929年3月場所まで活躍しましたが、引退を選択しました。引退後は、先代の湊川親方の未亡人と結婚し、年寄名である湊川を襲名、湊川部屋を継承しました。そこで彼は、幕内力士である金湊仁三郎など多くの力士を育成しました。

特筆すべきは、二所ノ関部屋の玉錦との関係です。彼が若い頃に酒の問題で苦境に立たされた際、綾錦は親身になって彼をかばい、救いの手を差し伸べました。この恩義を感じた玉錦は、財政的に厳しい湊川部屋を助け、彼の弟子を厚遇しました。このような経緯があって、戦後の1948年5月場所を持って湊川部屋を閉鎖し、二所ノ関部屋に身を寄せました。そして1951年5月には年寄を廃業します。

主な成績

綾錦由之丞の通算成績は108勝134敗、勝率は.446であり、幕内成績は56勝102敗、勝率は.354でした。また、現役在位は38場所、その中で幕内在位は16場所でした。彼のキャリアでは、特に1927年に西ノ海からの金星獲得が注目されます。

改名について

改名歴には、1929年3月まで「綾錦由之丞」として活躍した後、「宮錦由之丞」と名乗る期間がありました。そして、その後も「綾錦由之丞」として続けました。

年寄変遷

彼の年寄名は1929年3月から1951年5月まで「湊川吉紹」として活動していました。

彼の人生は、数々の試練と成功、そして弟子たちへの愛情で彩られたものでした。その足跡は、力士としてだけでなく、指導者としても後世に引き継がれています。

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