緑井駅

緑井駅（みどりいえき）は、広島県広島市安佐南区緑井四丁目に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）可部線の鉄道駅です。駅には「JR-B09」の駅番号が付与されています。

歴史

緑井駅は、今から一世紀以上前の1910年（明治43年）12月25日に、大日本軌道広島支社線の古市橋駅から太田川橋停留場（現在の位置とは異なる）までの延伸区間の一部として開業しました。当時は「緑井駅」という名称でした。

その後、路線を運営する事業者は度々変更されました。1919年（大正8年）3月11日には可部軌道へ、1926年（大正15年）5月1日には広島電気へ、そして1931年（昭和6年）7月1日には広浜鉄道へと譲渡されました。この間、1935年（昭和10年）12月1日には一時的に停留場に降格され、「緑井停留場」と改称されています。

転機となったのは1936年（昭和11年）9月1日です。広浜鉄道が国有化され、鉄道省（後の国鉄）の可部線に組み込まれることになり、緑井停留場は再び駅に昇格し「緑井駅」に戻りました。

戦後も様々な変化がありました。1948年（昭和23年）5月10日には小手荷物の取り扱いを開始し、1960年（昭和35年）4月1日には業務委託駅となりました。高度経済成長期に入り、1973年（昭和48年）5月1日には国鉄の特定都区市内制度における「広島市内」の駅に指定されています。一方で、1984年（昭和59年）2月1日には荷物の取り扱いが廃止されました。

1987年（昭和62年）4月1日、国鉄の分割民営化に伴い、緑井駅はJR西日本の駅として新たなスタートを切りました。民営化後、1992年（平成4年）11月1日にはみどりの窓口の営業が開始されました。1994年（平成6年）には駅の構造に大きな変化があり、2月27日に交換設備が新設され、同年8月20日には隣接する大町駅が開業したことで、緑井駅を終着とする折返し列車が設定されるようになりました。

21世紀に入ると、交通系ICカードへの対応が進み、2007年（平成19年）7月26日にはICOCA対応の簡易型自動改札機が設置され、同年9月1日からはICカード「ICOCA」が利用可能となりました。しかし、自然災害による影響も受け、2014年（平成26年）8月20日に発生した平成26年8月豪雨に伴う土砂災害により、当駅を含む可部駅までの区間が8月31日まで運休しました。

近年の駅のサービス形態も変化しており、2022年（令和4年）4月22日にはみどりの券売機が導入され、みどりの窓口の営業が終了しました。さらに2024年（令和6年）8月1日からは、駅員の常駐が廃止され、改札口に設置されたインターホンを通じての遠隔対応へと変更されています。

駅構造

緑井駅は地上駅で、島式ホーム1面2線を有しています。駅舎は線路の東側、広島方面寄りに位置しており、ホームへは駅舎から伸びる構内踏切を渡って連絡します。

現在の島式ホームは、1994年（平成6年）に交換設備が新設された際に整備されたものです。この改良は、大町駅開業に伴う旅客輸送量の変化に対応し、当駅での折返し運転を可能にするために行われました。改良以前は、線路西側に単式ホームが1面ある構造でした。また、駅舎の出入口も以前は駅舎の南側（妻面）にありましたが、現在は東側（前面）に改められています。

1994年の改良は、駅の構造だけでなく、駅周辺の環境にも大規模な開発をもたらしました。駅前には広々としたロータリーや駐車場、バス乗り場が新設され、交通結節点としての機能が強化されました。これにより、駅の利便性が向上し、徒歩圏内にラクア緑井（約100m）、さらに駅の目の前にはフジグラン緑井といった大型商業施設が開業するなど、駅周辺の商業的な集積が進みました。

駅にはみどりの券売機が設置されており、指定席券等の購入が可能です。駅員は巡回業務のため当駅に常駐しておらず、利用者は改札口付近のインターホンを利用して駅員と遠隔で対応します。交通系ICカードについては、ICOCAおよび相互利用可能な各社のカードが利用できます。また、JRの特定都区市内制度において「広島市内」の駅として扱われています。

のりば

ホームは基本的に、1番のりばが広島方面行、2番のりばが可部方面行の列車に利用されます。ただし、構造上の制約があり、可部方面から駅に進入できるのは1番線のみです。そのため、当駅を始発とする広島方面行きの列車は2番のりばから発車します。この際、可部方面に向かう列車は1番のりばを使用することになります。

駅周辺とバス路線

緑井駅の周辺は、前述の通り大型商業施設が集積し、地域経済の核の一つとなっています。かつては天満屋広島緑井店が最寄りの商業施設でしたが、同店は2022年6月末に閉店しています。

駅周辺には複数のバス停があり、JR可部線と様々な方面を結ぶバス路線が充実しています。主なバス停として「中緑井（緑井駅前）」「緑井駅」「中緑井（北行/南行）」「緑井五丁目（旧緑井天満屋前）」などがあり、広島交通、広電バス、フォーブルといった複数のバス事業者が運行しています。これらのバス停からは、毘沙門台、高陽、八木梅林、玖村駅前、矢口駅前、安東駅、弘億団地、川内、八木、桐陽台、大林、南原、上根、吉田、勝木、豊平、琴谷、下古市、祇園出張所前、中島駅口、三段峡といった広範囲へのアクセスが可能です。

利用状況

緑井駅の1日平均乗車人員等の利用状況は、広島市が発行する「広島市統計書」や「広島市勢要覧」などの公的な資料で確認することができます。

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