總見寺

總見寺（そうけんじ）

總見寺は、愛知県名古屋市中区大須に位置する臨済宗妙心寺派の寺院で、その山号は景陽山です。本尊には薬師如来の坐像が祀られており、織田信長にゆかりのある歴史的な寺院として知られています。しかし、常時拝観は行われておらず、その存在を知る人は限られているかもしれません。

歴史の流れ

伊勢国時代

最初の形を持っていた総見寺は、伊勢国三重郡大島村にあった西明寺という講寺でした。1332年に虎關師錬が景陽山神賛寺に改名し、後醍醐天皇の命令により官寺となりました。その後、伊勢国の安國寺として位置づけられました。

尾張国清洲時代

豊臣秀吉の時代、寺は一時衰退の危機に瀕しましたが、織田信雄が父である信長の菩提を弔うために寺を清洲北市場に移転し、名を總見寺と改めました。これにより、寺は再興し、忠嶽を開祖として迎えましたが、忠嶽自身は虎關を開山と仰ぎ、自らは2世としてその地位につきました。

清洲越し以降

1611年、清洲越しを経て名古屋南寺町（現在の大須3丁目）に寺が移りました。この際、法系の整備のため忠嶽を新たに開山として迎えることになりました。1630年には方丈が焼失するも、翌1637年に尾張藩主徳川義直が再建したという歴史を持っています。その後、寺領は時折変動し、初めは1326石から最終的に300石となりました。

1883年には本堂と庫裏の再建資金として宮内省から25円が下賜されました。当初は12院で構成されていた塔頭も、時代とともに光勝院、陽巖院、東林院、江月軒の5つに減少し、光勝院のみが残りましたが、明治維新の後は他の塔頭から直末寺院として独立しました。

戦後の状況

信長公廟が境内に存在しますが、他の墓地は第二次世界大戦後の土地区画整理事業により移動しました。1955年には大須公園が境内の南西に設立され、現在でも多くの市民に親しまれています。

名古屋博物館との関係

1878年、愛知県庁が民間から集めた寄付金で總見寺の境内に名古屋博物館を開設しました。1881年には公立名古屋博物館と改称され、1883年には愛知県博物館となりました。その後、1910年には愛知県商品陳列館として再生しました。

境内の見どころ

境内には仁王門の山門や本堂、そして織田信長公を祀った公廟があります。また、文化財として愛知県に指定されている物も多く、織田信長公の画像や旧清洲城障壁画、伝虎関師錬の頂相などが含まれています。他にも、名古屋市指定の文化財として紙本著色渡唐天神像なども存在します。

アクセス情報

名古屋市営地下鉄の鶴舞線大須観音駅から徒歩でアクセス可能で、名城線と鶴舞線の上前津駅からも歩いて行くことができます。歴史と文化が交差するこの地を訪れることは、名古屋の深い歴史を感じる良い機会となるでしょう。

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