虎関師錬

虎関師錬（こかんしれん）

虎関師錬は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて生きた臨済宗の僧侶であり、五山文学の代表的な人物として知られています。彼の生涯は学問と仏道に捧げられ、多くの著作を通じて後世に大きな影響を与えました。

生涯

弘安8年（1285年）に京都で生まれた虎関師錬は、幼少の頃から学問に親しみ、8歳で臨済宗聖一派の東山湛照に師事し参禅を始めました。弘安10年（1287年）には比叡山で受戒し、仏門に入ります。師を失った後は、南禅寺の規庵祖円や円覚寺の桃渓徳悟に師事し修行に励む傍ら、菅原在輔から『文選』を、六条有房から『易学』を学ぶなど、自らの知識を深めることにも努めました。

円覚寺の無為昭元や建長寺の約翁徳倹の門下に入る一方で、仁和寺や醍醐寺で密教も学び、幅広い知識と深い学識を身につけました。徳治3年（1308年）には鎌倉に下り、建長寺の一山一寧を訪ねた際、日本の名僧について尋ねられ、満足に答えられなかったことを機に、元亨2年（1322年）に『元亨釈書』を著述しました。

延元3年/建武5年（1338年）に東福寺の住持を退き、翌延元4年/暦応2年（1339年）には南禅寺の住持となりますが、興国2年/暦応4年（1341年）に辞任し、東福寺海蔵院に退いてからは海蔵和尚とも呼ばれました。興国3年/康永元年（1342年）には後村上天皇から国師号を賜っています。興国7年/貞和2年（1346年）2月、近衛基嗣の寄進により、城北柏野に楞伽寺を建立しましたが、同年7月24日に海蔵院で69歳で生涯を閉じました。

業績

虎関師錬は、五山文学の隆盛に大きく貢献した人物であり、その著作は多岐にわたります。特に有名なのは、日本初の仏教通史である『元亨釈書』です。これは、日本の仏教の歴史を網羅的に記述したもので、仏教史研究における重要な資料となっています。

その他にも、『楞伽経』の注釈書である『仏語心論』、詩文集である『済北集』、語録である『十禅支録』、そして日本初の韻書である『聚分韻略』など、数多くの著作を残しました。これらの著作は、彼の学識の深さと、文化に対する貢献を示すものです。

人物

虎関師錬は、学問に対する情熱と探究心を持ち続け、仏教の教えを深く理解し、実践した人物でした。彼の著作は、当時の社会や文化に大きな影響を与え、後世の学問や文化の発展に貢献しました。また、中巌円月など、彼に学んだ人々の中からも、五山文学で活躍する人物が輩出されました。

まとめ

虎関師錬は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての激動の時代に、学問と仏道に dedication し、五山文学の発展に貢献した偉大な僧侶です。彼の残した著作は、今もなお、私たちに多くの示唆を与え続けています。

参考文献

* 永井如瓶「庭訓往来作者考」『庭訓往来諸抄大成』。1904年（明治37年）。

もう一度検索