繆昌期

繆昌期（ぼく しょうき、またはびゅう しょうき、1562年 - 1626年）は、明代末期の官僚であり、字は当時、号は西渓と称しました。彼は常州府江陰県の出身で、東林党の初期における重要な人物の一人として知られています。

生涯

1613年（万暦41年）、50歳を過ぎてから科挙に合格し、進士に及第しました。その後、翰林院に入り、庶吉士としてキャリアをスタートさせました。翰林院では、検討の職に進み、学術的な分野で才能を発揮しました。しかし、彼の官僚としての人生は、政治的な混乱と個人の悲劇に彩られることになります。

翰林院時代、繆昌期は同僚であった美少年の馮銓を強犯したとされ、これが原因で両者は激しく対立することになりました。この事件は、当時の官僚社会の腐敗と権力闘争の一端を示すものとして注目されました。その後、梃撃の案（太子時代の泰昌帝が命を狙われたとされる事件）を契機に、繆昌期は多くの非難を受けることになり、病を理由に官職を辞することとなりました。

しかし、1621年（天啓元年）には朝廷に復帰し、左賛善となり、その後諭徳に進みました。1624年（天啓4年）、楊漣が宦官の魏忠賢の二十四大罪を弾劾した際、楊漣の上疏は繆昌期が起草したものであるという密告があり、魏忠賢はこれを深く恨みました。この密告により、繆昌期は危険を感じ、休暇を願い出て故郷に戻りました。1625年（天啓5年）、楊漣らと共に連座され、故郷で逮捕され、拷問を受けた末に獄死するという悲劇的な最期を迎えました。

繆昌期の死後、崇禎帝が即位すると、彼の生前の功績を認め、詹事・兼侍読学士の位を追贈しましたが、諡は与えられませんでした。その後、南[[明]]の福王政権の時代になって初めて、文貞という諡が贈られました。

繆昌期の生涯は、明朝末期の政治腐敗と権力闘争の激しさを物語るものであり、東林党という政治グループの興亡と、それに翻弄された官僚たちの悲劇を象徴する出来事の一つと言えるでしょう。彼の人生は、当時の政治状況や社会構造を理解する上で重要な手がかりとなります。

参考資料

『崇禎長編』
『明史』巻245 列伝第133

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