繆襲

繆襲（きゅう しゅう、186年 - 245年）は、後漢末から三国時代の魏にかけての人物で、字は熙伯（きはく）と称しました。徐州東海郡蘭陵県（現在の山東省臨沂市蘭陵県）の出身であり、父は繆斐（びゅうひ）、子は西晋の光禄大夫を務めた繆悦（びゅうえつ）です。彼は曹操、曹丕、曹叡、曹芳と、魏の創業から四代に仕え、その才能を発揮しました。

生涯と業績

繆襲は幼い頃から学識に恵まれ、多くの著作を残しました。彼の官位は尚書、光禄勲にまで昇り、その才能と功績が認められていたことが伺えます。また、彼は仲長統（ちゅうちょうとう）と親交があり、その人物を高く評価していました。彼は仲長統の著作である『昌言』を上表したことでも知られています。

繆襲は、魏の鼓吹曲を多数作詞しました。鼓吹曲は、兵士の士気高揚と慰安を目的とした軍楽であり、唐代に成立した正史『宋書』の「楽志」には、歴代王朝の鼓吹曲が収録されています。その中に、繆襲が作詞した12篇が含まれており、彼の音楽に対する才能も窺い知ることができます。

曹丕（そうひ）の時代には、繆襲は『皇覧』の編纂に従事しました。『皇覧』は、魏の文化や歴史をまとめた重要な書物であり、彼の学識と文章力が活かされた事業と言えるでしょう。また、曹叡（そうえい）の時代になると、魏の国史である『魏書』の編纂にも衛覬（えいき）らと共に参画しました。これらの編纂事業への参加は、彼が魏王朝にとって不可欠な存在であったことを示しています。

正始6年（245年）、繆襲は60歳で亡くなりました。彼の死後も、その功績と才能は長く語り継がれました。

人物評価

繆襲は、学識豊かで文才に長けた人物であり、魏王朝の文化的な発展に大きく貢献しました。彼の著作や編纂事業への参加は、魏の歴史や文化を後世に伝える上で重要な役割を果たしました。また、彼は友人である仲長統を高く評価し、その著作を上表するなど、人物を見る目にも優れていたと言えるでしょう。

参考文献

『三国志』巻21 劉劭伝注
『史通』巻十二 古今正史篇

出典

『楽府詩集』
『隋書』経籍志
* 劉知幾『史通』古今正史篇

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