織田信定

織田信定（おだ のぶさだ）

織田信定は、戦国時代の武将で、尾張国の有力な一族である織田氏の一員です。具体的には、清洲織田氏に仕える重臣であり、清洲三奉行の一つである織田弾正忠家の当主でした。勝幡城を居城とし、尾張における織田氏の勢力拡大に大きく貢献しました。

生い立ちと出自

信定の出自は、越前国織田庄の劔神社の祠官の家系に遡るとされています。また、尾張の守護大名であった斯波氏の家臣である織田氏の分流とも言われています。当初、藤原氏を名乗っていましたが、後に信長が平氏に改姓しました。信定は、尾張下四郡守護代に任じられた織田大和守家の分家にあたり、その重臣として同家の執務を補佐する重要な役割を担いました。

信定の父親については、江戸時代の系図では織田敏定とされていますが、より信頼性の高い史料である『信長公記』には、信定の法名である月巌の先代が西巌であると記されています。そのため、現在では織田敏定が父であるという説は否定されつつあり、文明14年（1482年）の記録に登場する「織田弾正忠良信」が信定の父であるという説が有力視されています。

活躍と業績

信定は、清洲城を本拠とする織田大和守家当主の織田達勝のもとで奉行の地位にあり、代々「弾正忠」を通称としていました。また、「弾正左衛門尉」とも称していました。永正13年（1516年）には、妙興寺の寺領を安堵する連署状に「織田弾正忠信貞」と署名しています。

信定は、中島郡や海西郡に勢力を拡大し、津島の港を支配下に置きました。津島の港は、当時重要な交易拠点であり、信定はこの港から得られる経済力を背景に、織田氏の勢力拡大の基礎を築きました。また、永正年間に勝幡城を築城し、大永年間に拠点を津島の館から勝幡城に移しました。天文年間の初めには、嫡男である信秀に家督を譲り、隠居しました。隠居後は木ノ下城に移ったとされています。

死去と系譜

『好古類纂』によれば、信定は天文7年（1538年）11月2日に亡くなっています。信定の系譜は以下の通りです。

父：織田良信（または織田敏定）
母：京極持清の娘
正室：いぬゐの方（織田良頼の娘）
長男：織田信秀
側室：月静院殿

織田信定は、戦国時代の動乱期において、織田氏の勢力拡大に重要な役割を果たした武将です。特に、経済力を基盤とした勢力拡大の手腕は、後の織田信長の活躍にも繋がったと考えられています。

脚注

注釈

出典

西ヶ谷恭弘『考証織田信長事典』東京堂出版、2000年、216-225頁。
堀田正敦「国立国会図書館デジタルコレクション 織田氏」『寛政重脩諸家譜 第3輯』國民圖書、1923年。
“『系図纂要』”. 東京大学史料編纂所.
岡田正人「織田信定編」『織田信長総合事典』雄山閣出版、1999年、110-114頁。

関連項目

岐阜市歴史博物館
* NHK大河ドラマ『信長』（1992年）演：船越英二

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