羊鑑

羊鑑（ようかん、字は景期）は、中国東晋時代の官人・武人であり、匈奴中郎将の羊済を父に持つ泰山郡南城県の出身です。

当初、東陽郡太守を務めていましたが、後に太子左衛率に転任しました。大興2年（319年）、徐龕が泰山郡で反乱を起こすと、司徒の王導は、羊鑑が泰山郡の名門出身であることから、その鎮圧に期待を寄せ、討伐を命じようとしました。しかし羊鑑は、自らに軍を率いる才能がないとして固辞し、太尉の郗鑒もまた羊鑑の能力不足を指摘して反対しましたが、王導は聞き入れませんでした。

結局、羊鑑は征討都督・行征虜将軍に任じられ、蔡豹、侯礼、劉遐、段文鴦らと共に徐龕討伐のために出陣しました。しかし、羊鑑は蔡豹の進言を聞き入れず、その結果、戦いに敗北してしまいます。御史は、この敗戦の責任を問い、羊鑑を斬刑に処するよう上奏しましたが、元帝は羊鑑が夏侯太妃の母方の親族であったことから、特例として死罪を免じ、官爵を剥奪しました。

その後、長い年月を経て、羊鑑は少府として再び官界に復帰しました。王敦が反乱を起こすと、羊鑑は王敦の母方の叔父であったため、明帝から警戒されることとなりました。しかし、成帝が即位すると、蘇峻の乱の鎮圧に参加し、その功績により豊城県侯に封じられました。その後、光禄勲に転じ、その生涯を終えました。

羊鑑の人物像は、必ずしも傑出した武将というわけではありませんでしたが、名門出身であり、皇室や有力者との関係が深く、そのことが彼の官歴に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

参考資料

* 『晋書』巻81 列伝第51

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