羋戎

羋戎の生涯と秦における権力の変遷

羋戎（び じゅう、紀元前332年 - 紀元前262年）は、中国戦国時代後期に生きた人物で、楚の公族であり、後の秦の政治家として重要な役割を果たした。彼は秦の昭襄王の母である宣太后の弟にあたる。

初期の生い立ちと楚での活動

羋戎はもともと楚の国にて暮らしており、この地で罪を犯したことで東周に逃れることとなる。この背景には、彼自身とその家族の複雑な人間関係が影響している。一方、彼の姉である宣太后は、やがて秦の王政に大きな影響を及ぼすことになる。

昭襄王の権力と羋戎の地位

秦の武王が亡くなった後、宣太后の異父兄弟である魏冄の支持を受けた公子稷が、内部の争いを経て昭襄王となった。羋戎はこの昭襄王の時代に左丞相の地位に就き、魏冄と共に秦政を動かす権力を持つに至る。さらに、羋戎は彼の姉や魏冄、甥の涇陽君（公子巿）、高陵君（公子悝）と共に「四貴」と呼ばれ、秦国内で長期にわたって王に匹敵する権力を保持していた。

函谷関の戦い

昭襄王の9年（紀元前298年）、彼は孟嘗君が主導する斉・韓・魏の連合軍による攻撃に直面した。この際、羋戎は秦軍の総司令官として指揮を執り、函谷関を守る戦いで奮闘した。特に、斉の匡章が率いる合従軍との戦いでは、秦の力を示す重要な指導者としての役割を果たした。

権力の失墜と晩年

しかし、彼の栄光は永遠に続くものではなかった。昭襄王の42年（紀元前265年）、彼の姉である宣太后の廃位が奏上され、羋戎を含む四貴も権力を失い、関中から追放されることになる。これにより、羋戎は封地で余生を過ごすこととなった。

羋戎は昭襄王の45年（紀元前262年）にその生涯を終えた。この出来事は同王にとっては、政権基盤を再構築する好機となり、秦は国内の権力を一本化してより一層強大になる。

結論

羋戎の生涯は、秦の歴史における権力の変遷と、個々の政治家が果たす役割を物語っている。彼のやがて滅びた権力の背景には、時代の激動と兄弟姉妹の策略があったと言える。彼の生涯を通して、戦国時代の複雑な政治状況を垣間見ることができる。

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