美東町

美東町（みとうちょう）は、かつて山口県の中央部、カルスト台地として名高い秋吉台の麓に位置していた町です。2008年に美祢市、秋芳町と合併し、現在は美祢市の一部となっています。

地理

山口県の内陸部に位置し、盆地特有の気候から、夏は暑く冬は寒さが厳しいのが特徴です。町は周囲を山々に囲まれており、地域間の移動には峠を越える必要がありました。特に萩市へと続く県道32号線の雲雀峠は、冬季には積雪や凍結が頻繁に見られました。

歴史

美東町の歴史は古く、奈良時代には長登（ながのぼり）銅山が東大寺の大仏鋳造に使われる銅を産出していました。寛永年間には、町内の銭屋に寛永通宝の鋳銭所が開かれるなど、古くから銅の産地として栄えました。

江戸時代に入ると、萩に毛利氏の居城が築かれたことから、美東町は下関、小郡、宇部などと萩を結ぶ交通の要所として発展しました。

幕末期には、長州藩内で権勢を争う俗論派と、高杉晋作が率いる奇兵隊が、大田・絵堂で激しい戦闘を繰り広げました。この戦いで勝利した高杉晋作は、萩へと進軍し俗論派を一掃。明治維新へと繋がる大きな一歩を踏み出したのです。

合併までの沿革

1954年（昭和29年）10月1日：大田町・綾木村・真長田村・赤郷村が合併し、美東町が発足。
2007年（平成19年）2月13日：美祢市・秋芳町との合併協定書に調印。
2008年（平成20年）3月21日：美祢市・秋芳町と合併し、新たに美祢市が発足。同日、美東町は廃止となりました。

産業

農業が町の基幹産業であり、大田地区や赤郷地区を中心に広大な田園風景が広がっていました。特に赤郷地区は、ゴボウの産地として知られていました。近年では、積極的に工業団地の誘致も行われていました。

交通

美東町は交通の要衝であり、萩市から宇部市、美祢市から山口市、長門市から旧小郡町を結ぶ道路が交差していました。

鉄道は町内を通っておらず、JR山陽本線の新山口駅、またはJR山口線の山口駅からバスに乗り換える必要がありました。戦前には宇部から船木鉄道が大田まで延伸される計画がありましたが、実現には至りませんでした。

道路

有料道路：小郡萩道路（合併前は建設中でした）
一般国道：国道435号、国道490号
主要地方道：山口県道28号小郡三隅線、山口県道30号小野田美東線、山口県道31号美東秋芳西寺線、山口県道32号萩秋芳線
一般県道：多数

路線バスは、町の中心部である大田にあるバスセンター（大田中央バス停）を経由するものがほとんどでした。

名所・旧跡・観光

長登銅山跡（国の史跡）
長州藩銭座跡
大田・絵堂の戦役跡
道の駅みとう
秋吉台
大正洞
景清洞
秋吉台サファリランド
きららオーガニックライフ（旧美東いちごファーム）
* 湯ノ口温泉

美東町は、豊かな自然と歴史に彩られた町でした。

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