群 (軍事)

陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊における「群」

近代陸軍の編制単位の一つである「群」は、軍種によって規模や構成が大きく異なります。本稿では、日本における陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊のそれぞれにおける「群」について、その役割、規模、構成、指揮官、歴史的な廃止部隊などを詳細に解説します。

陸上自衛隊

陸上自衛隊において、「群」は連隊よりも小さく、大隊よりも大きい単位です。一般的に、複数の大隊または中隊から構成され、必要に応じて部隊規模を柔軟に変更できるのが特徴です。これは、連隊のような固定的な編成とは対照的です。複数の「群」が集まって「団」を構成します（例：システム通信団の前身は「固定通信群」）。「群」の指揮官は1等陸佐が務めます。

自衛隊イラク派遣における「イラク復興支援群」は、防衛庁長官（当時）の直轄部隊として活動しました。複数の中隊を擁し、1佐が指揮官を務めたことから、連隊に準じた編成を持つ部隊とみなされました。

通常、陸上総隊司令官または方面総監の直轄部隊として運用されますが、有事の際には師団（旅団）長や隷下部隊長の指揮下に入る場合もあります。災害派遣時にも、派遣先の師団（旅団）長の指揮下で活動することがあります。

廃止された部隊

過去には以下の部隊が「群」として存在していましたが、現在は廃止されています。

普通科群（習志野駐屯地）：2004年3月28日廃止
第1混成群（那覇駐屯地）：2010年3月25日廃止
第1戦車群（北恵庭駐屯地）：2014年3月26日廃止
第4特科群（上富良野駐屯地）：2024年3月20日廃止予定

海上自衛隊

海上自衛隊における「群」は、艦隊よりも小さく、隊よりも大きい単位で、FlotillaやCommandに相当します。複数の隊（Division）から構成され、複数の「群」が集まって艦隊または集団を形成します。陸上自衛隊や航空自衛隊の「団」に相当する規模であり、指揮官である群司令は海将補または1等海佐が務めます。

護衛艦隊は4個の護衛隊群などから構成され、各護衛隊群は2個の護衛隊からなります。例外として、掃海隊群はForceとされ、護衛艦、航空集団、潜水艦隊と同列の扱いとなっています。

海上自衛隊における群の例

護衛隊群 (Escort Flotilla)
海上訓練指導隊群 (Fleet Training Command)
航空群 (Fleet Air Wing)
潜水隊群 (Submarine Flotilla)
掃海隊群 (Mine Warfare Force)
艦隊情報群 (Fleet Intelligence Command)
海洋業務・対潜支援群 (Oceanography ASW Support Command)
開発隊群 (Fleet Research and Development Command)
教育航空群 (Air Training Group)
システム通信隊群 (Communications Command)

航空自衛隊

航空自衛隊において、「群」は団よりも小さく、隊よりも大きい単位です。一般的に、いくつかの隊から構成され、複数の「群」が集まって「団」を構成します。指揮官である群司令（陸上自衛隊と異なり「長」ではない）は1等空佐または2等空佐が務めます。

航空団は飛行群や整備補給群などから構成され、飛行群は2個の飛行隊などからなります。航空教育隊のように、名称は「隊」ですが「団」と同等の規模の部隊もあります。

まとめ

このように、「群」は自衛隊において重要な編制単位であり、その規模や役割は軍種によって異なります。各軍種の作戦や組織構造を理解する上で、「群」の役割を理解することは不可欠です。将来の防衛力の整備や運用を考える上でも、「群」の役割や位置づけを改めて理解しておくことは重要です。

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