聖マーガレット教会 (ウェストミンスター)

聖マーガレット教会：ウェストミンスター宮殿の隣に佇む歴史的教会

聖マーガレット教会は、イギリス・ロンドンのウェストミンスター寺院に隣接するイングランド国教会の教会です。ウェストミンスター宮殿、つまり英国議会の議場がある宮殿の教区教会という重要な位置を占めています。アンティオキアの聖マーガレットに献堂されたこの教会の歴史は古く、その起源は12世紀にまで遡ります。当初はベネディクト会派聖職者によって建てられた簡素な教会でしたが、周辺住民の教区教会として独立し、1486年から1523年にかけて大規模な改修が行われました。

17世紀には、ピューリタン革命の影響を受け、ウェストミンスター宮殿の教区教会として選ばれることになります。この決定は、聖マーガレット教会が議会運営に適した場所と判断されたためであり、現在までその役割を担っています。

教会の建築様式は、幾多の改修を経て変化してきました。1734年から1738年にかけては、ジョン・ジェームズによって北西の塔が再建され、全体構造はドーセット州産のポートランド・ストーンで覆われました。東部と西部のポーチは、のちにジョン・ラフバラ・ピアソンによって追加されました。内装も大幅に修繕され、現在の様子は1877年にジョージ・ギルバート・スコットによる改修によるものです。これらの改修にもかかわらず、教会内部には多くのテューダー様式の特徴が今も残されています。

聖マーガレット教会には、歴史的価値の高い装飾品も数多く残されています。中でも有名なのは、1509年に設置されたフランドル製のステンドグラスです。これは、ヘンリー7世の長男アーサー王子とカトリック両王の娘カタリナ王女の婚約を記念して制作されたものです。その他にも、イギリス最初の印刷家ウィリアム・キャクストン（1491年没）、宮殿の庭で処刑されたウォルター・ローリー卿、そしてこの教会に埋葬された詩人で牧師のジョン・ミルトン（1618年没）を記念した窓などがあります。収集家としても知られたヘンリー・コンスタンティン・ジェニングズも、この教会に埋葬されています。

聖マーガレット教会は、歴史的な重要性だけでなく、上流階級の結婚式場としても利用されてきました。日記作者として名高いサミュエル・ピープスや、イギリス首相ウィンストン・チャーチルも、この教会で挙式を行いました。

このように、聖マーガレット教会は、建築史、宗教史、そして英国の歴史を語る上で重要な役割を果たす、歴史的建造物です。ウェストミンスター宮殿に隣接するその立地も相まって、ロンドンの観光名所としても人気を博しています。テューダー様式の美しい内装や、歴史的著名人の墓所、そして数々のステンドグラスなど、見どころ満載の教会です。 その歴史的、建築的価値から、世界遺産登録基準(1)(2)(4)を満たす、貴重な文化遺産と言えるでしょう。

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