職業能力開発総合大学校

職業能力開発総合大学校について

職業能力開発総合大学校（Polytechnic University）は、東京都小平市に本部を置く、厚生労働省が所管する省庁大学校です。1961年に設立され、テクノインストラクター（職業訓練指導員）の養成、能力向上訓練、高度職業訓練、職業能力開発に関する調査研究を総合的に行うことを目的としています。略称として、能開大、職業大、PTUなどが用いられます。

大学校の概要

教育訓練施設としての位置づけ

本大学校は、学校教育法に基づく大学ではなく、厚生労働省が所管する教育訓練施設です。職業能力開発促進法に基づき国が設置し、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営しています。教育訓練の内容は、職業能力開発促進法施行規則に定められた基準に準拠しています。

理念

「ものづくり」と「人づくり」を理念としています。「ものづくり」においては、「科学・技術・技能の融合」を重視し、「人づくり」においては、「ものづくり」を次世代に伝える人材育成を目指しています。

教育訓練と研究

学位授与

本大学校の総合課程（学部相当）の卒業生は、大学改革支援・学位授与機構への申請により、学士（生産技術）の学位を取得できます。英語では、総合課程は「Faculty of Manufacturing Science & Technology」、学士（生産技術）は「Bachelor of Science in Manufacturing technology」と表記されます。また、旧カリキュラムの長期養成課程や現カリキュラムの指導員養成訓練、職業能力開発研究学域（大学院修士課程相当）の修了者は、同機構の審査を経て修士（生産工学）の学位を取得できます。

研究

職業能力開発の実践に必要な調査研究を特色としています。

沿革

年表

• - 1961年：労働福祉事業団により中央職業訓練所が設置
• - 1965年：職業訓練大学校に改称
• - 1973年：神奈川県相模原市に移転
• - 1991年：学位授与機構により学位授与施設として認定
• - 1993年：職業能力開発大学校に改称
• - 1999年：職業能力開発総合大学校設立
• - 2011年：独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に移管
• - 2013年：東京都小平市の東京校と統合・移転
• - 2016年：長期養成課程職業能力開発研究学域が修士授与施設として認定

学科の変遷

学士課程、修士課程、指導員養成課程など、時代に応じて学科が変遷しています。

学士を得られる課程の学科

• - 長期課程：鍛造鋳造科、機械科などから、産業機械工学科、電気工学科などを経て、機械システム工学科、電気システム工学科、電子情報システム工学科、建築システム工学科へと変遷。
• - 総合課程：機械専攻、電気専攻、電子情報専攻、建築専攻

修士を得られる課程の学科

• - 研究課程：機械専攻、電気・情報専攻、建築・造形専攻
• - 長期養成課程職業能力開発研究学域：機械工学専攻、電気工学専攻、電子情報学専攻、建築学専攻

指導員養成に関する課程の変遷

• - 長期課程：学士を得られる課程と同様
• - 長期養成課程：機械指導科、電気指導科、電子情報指導科、建築指導科
• - 専門課程：鋳造科、機械科、塑性加工科など
• - 職種転換課程：機械科、メカトロニクス科など
• - 応用研究課程：応用研究科高度実践技術指導者専攻
• - 高度養成課程：応用研究科高度実践技術指導者専攻
• - 短期養成課程（実務経験者訓練技法習得コース）：職業能力開発指導力、コーディネート力など
• - 短期養成課程（指導力習得コース）：機械指導科、電気指導科、電子情報指導科、建築指導科

教育訓練

組織

本大学校は、総合課程、長期課程、研究課程、応用研究課程、専門課程、研修課程などを設置しています。

総合課程

生産現場の指導者育成を目的とし、職業訓練と大学教育を一体化させた教育を行います。修業年限は4年で、学士の学位が取得可能です。

長期課程

職業訓練指導員の養成を目的としており、修業年限は4年です。卒業により職業訓練指導員免許を取得できますが、学士の学位は長期課程1年次からの入学者のみ取得可能です。

研究課程

高度な技術指導力と研究開発能力を持つ指導者の養成を目的としています。大学院修士課程に相当し、修業年限は2年です。修士の学位が取得できますが、職業訓練指導員免許は取得できません。

応用研究課程

職業能力開発大学校等の応用課程担当教員の養成を目的としています。入学資格は研究課程または大学院修士課程修了者です。

専門課程

職業訓練指導員免許を持つ者等に対し、別の職種の職業訓練指導員免許を取得させることを目的としています。

研修課程

職業訓練指導員等の技術向上を目的とした訓練や補習を行います。

総合的ものづくり人材育成コース

製造業の競争力向上を目指し、「ものづくり力」、「変革・推進力」、「マネジメント力」を兼ね備えたリーダーを育成します。

基盤整備センター

職業能力開発に関する調査・研究を行う施設です。教材開発、訓練システム評価、訓練技法などを研究しています。

学生生活

経済支援

経済的な理由で修学が困難な学生は、厚生労働省の技能者育成資金融資制度を利用できます。

授業時間と休暇

1時限の授業時間は100分で、大学に比べて夏期休暇は短めです。

クラブ活動

文化系10、体育系21の合計31団体があり、活発な活動を行っています。

大学校関係者と組織

同窓会

長期課程と研究課程の同窓会として、滄水会があります。

主なOB・OG

• - 永守重信（ニデック株式会社創業者）
• - 赤松明（ものつくり大学学長）
• - 服部信治（アーバネットコーポレーション株式会社創業者）

施設

キャンパス

東京都小平市に位置し、高度職業訓練、指導員養成訓練に使用されています。

図書館

2号館の6階と7階に図書館があります。

寮

総合課程の学生向けに学生寮があります。

過去に存在した施設

• - 起業・新分野展開支援センター
• - 関西起業・新分野展開支援センター
• - 職業能力開発総合大学校東京校

対外関係

地方自治体との協定

相模原市と地域産業活性化に関する協定を締結しています。

学生の就職先

卒業後の進路に制限はありませんが、テクノインストラクターとして独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構や公共職業能力開発施設、民間企業の職業訓練施設などに就職する例があります。

国際協力

東南アジア諸国からの国費留学生を受け入れています。

社会との関わり

テクノインストラクターへの就職実績問題

行政改革の影響で、テクノインストラクターの採用数が減少した時期がありました。そのため、卒業生が民間企業に就職する割合が増加し、課題として指摘されました。その後、組織の再編や見直しが行われ、状況は改善に向かっています。

行政改革

独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止に伴い、職業能力開発業務は独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に移管されました。

施設の売却

相模原キャンパスの施設が売却され、小平市の東京校に統合されました。

まとめ

職業能力開発総合大学校は、高度な職業訓練と人材育成を担う重要な教育機関です。産業界のニーズに応じた教育訓練と研究活動を通じて、社会に貢献しています。

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