肝付兼屋

肝付兼屋（きもつき かねいえ）

肝付兼屋は、江戸時代前期の薩摩藩に仕えた武士であり、喜入肝付氏の三代目当主として知られています。喜入肝付氏は、肝付氏十二代当主である肝付兼忠の三男・兼光を祖とする分家にあたります。

生い立ちと家督相続

元和5年（1619年）、肝付兼武の子として生まれた兼屋は、寛永2年（1625年）に父の死去に伴い、わずか6歳で家督を相続しました。幼くして当主となった兼屋ですが、その後、着実にその地位を固めていきます。

元服と島原の乱

寛永4年（1627年）、藩主である島津家久の面前で元服を迎え、武士としての第一歩を踏み出します。寛永15年（1638年）には、島原の乱に出陣し、武功を挙げました。

島津家との縁戚関係

寛永16年（1639年）、藩主・島津光久の妹を正室に迎え、島津家との縁戚関係を深めました。これは、兼屋が藩内においていかに重要な人物であったかを示唆しています。

将軍への謁見と犬追物

正保4年（1647年）、将軍・徳川家光の命により、藩主・光久が武蔵王子で犬追物を開催した際、兼屋は射手として参加しました。この際、将軍家光と世子家綱に拝謁し、時服を賜るという栄誉に浴しました。

領内統治と要職歴任

慶安2年（1649年）、兼屋は領内の一向宗と切支丹を禁止し、領内の安定化に努めました。慶安4年（1651年）には小根占地頭職、承応2年（1653年）には領内に館を新設するなど、領主としての責務を果たしました。明暦元年（1656年）には、正室の化粧料として550石を賜るなど、藩主からの信頼も厚かったことが伺えます。

大目付と地頭職

寛文2年（1662年）、兼屋は大目付職に就任し、藩政の中枢を担いました。その後、寛文4年（1664年）には頴娃地頭職、寛文5年（1665年）には小禰寝地頭職、寛文8年（1668年）には帖佐地頭職を歴任し、各地の統治に手腕を発揮しました。

死去とその後

延宝3年（1675年）4月29日、兼屋は57歳で生涯を閉じました。家督は嫡男である久兼が相続し、喜入肝付氏はその血筋を繋いでいくこととなります。

まとめ

肝付兼屋は、武士としての勇猛さと、領主としての統治能力を兼ね備えた人物でした。島原の乱での活躍や、藩主からの厚い信任、そして数々の要職歴任は、彼の優れた能力を物語っています。また、将軍への謁見や、正室への化粧料の賜与は、彼が藩内でいかに重要な人物であったかを物語っています。彼の生涯は、江戸時代初期の薩摩藩を理解する上で、重要な手がかりとなるでしょう。

もう一度検索