肥前白石駅
佐賀県杵島郡白石町に位置する肥前白石駅は、九州旅客鉄道（JR九州）が運行する長崎本線の駅です。町内の交通を支える重要な拠点の一つとなっています。
この駅の歴史は、1930年3月9日に鉄道省が開設した「福治駅」として始まりました。その後、戦時色が濃くなりつつあった1940年4月1日には駅舎の改修と同時に駅名が現在の「肥前白石駅」へと変更されました。これは、同時期に他の場所に同名の白石駅が存在したため、「肥前」を冠して区別する必要があったからです。
国鉄時代の後期にあたる1983年1月頃には、一旦駅員の配置が無くなりますが、1987年4月1日の国鉄分割民営化に伴い、JR九州の駅として再出発を果たします。しかし、時代の流れとともに利用状況や経営効率の変化があり、2016年3月26日には再び無人駅となりました。
施設の面では、2016年10月15日に新しい駅舎の利用が開始されました。これは、駅の東側を通る佐賀県道36号武雄福富線の拡幅工事に合わせて、旧駅舎の南側に新たに建設されたものです。新駅舎には待合室と公衆トイレが設けられ、利用者の利便性が向上しました。
肥前白石駅は地上駅で、列車が発着する線路の両側にホームが設置されている相対式ホーム2面2線の構造を持っています。両ホームは跨線橋によって結ばれており、利用者はこれを使って行き来します。ホームの一部は817系電車のような近代的な車両にも対応できるよう、2両分がかさ上げされています。
特徴的なのは、下り線を通過線とする1線スルー配線を採用している点です。これにより、通常はホームが分かれている上下線どちらの列車も、駅舎がある下り線側のホームに停車させることが可能です。特に特急列車の通過待ちが発生しない普通列車については、上下線とも下り線側に停車させる柔軟な運用が行われています。これは、乗降客が跨線橋を渡る手間を省き、駅構内での移動をスムーズにするための配慮です。
かつてはJR九州鉄道営業（現在のJR九州サービスサポート）が駅業務を受託する業務委託駅でしたが、2016年の無人化によりその形態は解消されました。
2023年度のデータによると、肥前白石駅の1日平均乗車人員は623人です。朝夕の通勤・通学時間帯には、特に最寄りの佐賀県立白石高等学校や佐賀県立佐賀農業高等学校に通う学生、および町外へ通学・通勤する人々で駅は活況を呈します。この混雑に対応するため、本来は車内精算を行うワンマン列車でも、ラッシュ時には全てのドアを開放してスムーズな乗降を促す措置が取られています。
駅の周辺には、前述の高校の他、白石保養院や白石町立六角小学校といった施設が点在しています。主要な交通路としては、駅の近くを国道207号と佐賀県道36号武雄福富線が通っています。少し離れた場所には、タクシーで約10分程度の距離に自然豊かな縫ノ池があります。
バス路線については、駅前に白石町コミュニティタクシー「いこカー」の停留所があり、福富線や牛間田横手線が運行されています。また、駅から東へ約500メートルほど離れた国道207号沿いには、祐徳バスの「白石」バス停があり、鹿島市方面や佐賀駅バスセンター方面への路線バスが利用可能です。
肥前白石駅は、日本の鉄道ファンの間で語り草となっている「最長片道切符」において、ある特定の期間、その起点駅の一つとなった珍しい歴史を持っています。
これは1988年4月1日から1989年4月30日までの出来事です。それまで最長片道切符のルートは、九州の松浦線東山代駅を起点とし、北海道の宗谷本線・天北線を経て音威子府駅を終点とするものでした。しかし、1988年3月31日に松浦線が松浦鉄道へ転換されたことで、JR線のみで構成される最長ルートの見直しが必要となりました。
新しいルートでは、九州内の最終区間が肥前山口駅（現在の江北駅）と諫早駅の間で、長崎本線、大村線、佐世保線を経由する環状部分を含む形となり、最終的な終点が肥前山口駅となりました。このルートを最長片道切符に組み込むには、同じ駅を二度通らないという原則を守るため、ルート上のどこか1駅間を外す必要が生じました。
このとき、肥前山口駅から肥前白石駅までの距離と、佐世保線の大町駅から肥前山口駅までの距離が、いずれも5.1kmで全く同じでした。一方、北海道側の音威子府駅から一つ手前の駅までの距離は、この5.1kmよりも長かったため、ルートから外す区間として肥前山口駅と肥前白石駅の間、あるいは肥前山口駅と大町駅の間を選ぶことが可能となりました。結果として、肥前白石駅と大町駅の両方が、北海道の音威子府駅を終点とする最長片道切符の起点駅として認められることになったのです。一つの最長片道切符に対して複数の起点駅が存在するのは、極めて異例の事態でした。
この「二重起点」の状態は、1989年5月1日に天北線が廃止されたことにより解消されます。以降の最長片道切符のルートは、北海道の様似駅を起点とし、九州の肥前山口駅を終点とする単一の片道ルートとなりました。
また、過去には1980年まで、特急列車ではありませんが急行「出島」の一部列車が停車していた時期もあり、地域における当駅の役割の変遷を物語っています。
このように、肥前白石駅は、日々の地域住民の足として機能するだけでなく、鉄道史のユニークなエピソードに名を刻む駅でもあります。長崎本線の普通列車が停車し、隣駅の江北駅、肥前竜王駅との間を結んでいます。
歴史を辿る
この駅の歴史は、1930年3月9日に鉄道省が開設した「福治駅」として始まりました。その後、戦時色が濃くなりつつあった1940年4月1日には駅舎の改修と同時に駅名が現在の「肥前白石駅」へと変更されました。これは、同時期に他の場所に同名の白石駅が存在したため、「肥前」を冠して区別する必要があったからです。
国鉄時代の後期にあたる1983年1月頃には、一旦駅員の配置が無くなりますが、1987年4月1日の国鉄分割民営化に伴い、JR九州の駅として再出発を果たします。しかし、時代の流れとともに利用状況や経営効率の変化があり、2016年3月26日には再び無人駅となりました。
施設の面では、2016年10月15日に新しい駅舎の利用が開始されました。これは、駅の東側を通る佐賀県道36号武雄福富線の拡幅工事に合わせて、旧駅舎の南側に新たに建設されたものです。新駅舎には待合室と公衆トイレが設けられ、利用者の利便性が向上しました。
駅の構造と運用
肥前白石駅は地上駅で、列車が発着する線路の両側にホームが設置されている相対式ホーム2面2線の構造を持っています。両ホームは跨線橋によって結ばれており、利用者はこれを使って行き来します。ホームの一部は817系電車のような近代的な車両にも対応できるよう、2両分がかさ上げされています。
特徴的なのは、下り線を通過線とする1線スルー配線を採用している点です。これにより、通常はホームが分かれている上下線どちらの列車も、駅舎がある下り線側のホームに停車させることが可能です。特に特急列車の通過待ちが発生しない普通列車については、上下線とも下り線側に停車させる柔軟な運用が行われています。これは、乗降客が跨線橋を渡る手間を省き、駅構内での移動をスムーズにするための配慮です。
かつてはJR九州鉄道営業（現在のJR九州サービスサポート）が駅業務を受託する業務委託駅でしたが、2016年の無人化によりその形態は解消されました。
利用状況と駅周辺
2023年度のデータによると、肥前白石駅の1日平均乗車人員は623人です。朝夕の通勤・通学時間帯には、特に最寄りの佐賀県立白石高等学校や佐賀県立佐賀農業高等学校に通う学生、および町外へ通学・通勤する人々で駅は活況を呈します。この混雑に対応するため、本来は車内精算を行うワンマン列車でも、ラッシュ時には全てのドアを開放してスムーズな乗降を促す措置が取られています。
駅の周辺には、前述の高校の他、白石保養院や白石町立六角小学校といった施設が点在しています。主要な交通路としては、駅の近くを国道207号と佐賀県道36号武雄福富線が通っています。少し離れた場所には、タクシーで約10分程度の距離に自然豊かな縫ノ池があります。
バス路線については、駅前に白石町コミュニティタクシー「いこカー」の停留所があり、福富線や牛間田横手線が運行されています。また、駅から東へ約500メートルほど離れた国道207号沿いには、祐徳バスの「白石」バス停があり、鹿島市方面や佐賀駅バスセンター方面への路線バスが利用可能です。
特異なエピソード：最長片道切符の起点駅
肥前白石駅は、日本の鉄道ファンの間で語り草となっている「最長片道切符」において、ある特定の期間、その起点駅の一つとなった珍しい歴史を持っています。
これは1988年4月1日から1989年4月30日までの出来事です。それまで最長片道切符のルートは、九州の松浦線東山代駅を起点とし、北海道の宗谷本線・天北線を経て音威子府駅を終点とするものでした。しかし、1988年3月31日に松浦線が松浦鉄道へ転換されたことで、JR線のみで構成される最長ルートの見直しが必要となりました。
新しいルートでは、九州内の最終区間が肥前山口駅（現在の江北駅）と諫早駅の間で、長崎本線、大村線、佐世保線を経由する環状部分を含む形となり、最終的な終点が肥前山口駅となりました。このルートを最長片道切符に組み込むには、同じ駅を二度通らないという原則を守るため、ルート上のどこか1駅間を外す必要が生じました。
このとき、肥前山口駅から肥前白石駅までの距離と、佐世保線の大町駅から肥前山口駅までの距離が、いずれも5.1kmで全く同じでした。一方、北海道側の音威子府駅から一つ手前の駅までの距離は、この5.1kmよりも長かったため、ルートから外す区間として肥前山口駅と肥前白石駅の間、あるいは肥前山口駅と大町駅の間を選ぶことが可能となりました。結果として、肥前白石駅と大町駅の両方が、北海道の音威子府駅を終点とする最長片道切符の起点駅として認められることになったのです。一つの最長片道切符に対して複数の起点駅が存在するのは、極めて異例の事態でした。
この「二重起点」の状態は、1989年5月1日に天北線が廃止されたことにより解消されます。以降の最長片道切符のルートは、北海道の様似駅を起点とし、九州の肥前山口駅を終点とする単一の片道ルートとなりました。
また、過去には1980年まで、特急列車ではありませんが急行「出島」の一部列車が停車していた時期もあり、地域における当駅の役割の変遷を物語っています。
このように、肥前白石駅は、日々の地域住民の足として機能するだけでなく、鉄道史のユニークなエピソードに名を刻む駅でもあります。長崎本線の普通列車が停車し、隣駅の江北駅、肥前竜王駅との間を結んでいます。
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