胆管炎

胆管炎 (Cholangitis)

胆管炎とは、胆管に炎症が生じる病態を指し、特に細菌による感染が主な原因です。胆管炎は、特に高齢者においては、発熱の原因となることが多く、尿路感染症や肺炎と並ぶ代表的な疾患です。この疾患は、胆道感染症の一つとして、胆嚢炎とともに扱われることもあります。

胆道感染症の概念

胆道感染症の中には、胆管炎と胆嚢炎があります。急性胆管炎はしばしば、胆石や腫瘍、寄生虫などによって胆汁の流れが阻害されることが原因で生じる上行性胆管炎として知られています。胆嚢炎は、胆嚢管が閉塞されることで発生し、多くは発熱や右季肋部痛を引き起こします。この胆嚢炎は、結石や腫瘍によって引き起こされることが一般的です。無石胆嚢炎や慢性胆嚢炎もあり、それぞれのタイプで症状が異なります。

主な症状

胆管炎には、特有の症状がいくつかあります。最も典型的なものは、発熱、黄疸、右上腹部痛の3つであり、これらはシャルコーの3徴と呼ばれています。重症化すると意識障害やショックが発生することもあり、これによりレイノルズの5徴と呼ばれる症状群が形成されます。

胆管炎の種類

1. 上行性胆管炎

上行性胆管炎は細菌感染により引き起こされ、発熱や黄疸、痛みを伴います。多くの場合、これには既往の総胆管結石が関与しています。

2. 原発性硬化性胆管炎

このタイプは自己免疫に基づく胆管炎であり、慢性の進行性の疾患です。病態生理は明確でなく、特定の治療法も確立されていません。

3. 二次性硬化性胆管炎

他の原因による胆管炎で、既存の疾患や外的要因に由来します。

4. 再発性化膿性胆管炎

胆石の存在が再発を引き起こし、特定の患者群に多くみられます。

5. IgG4関連硬化性胆管炎

高IgG4血症に伴う胆管炎で、治療法には特有のアプローチが必要です。

急性胆管炎の概要

急性胆管炎は、胆管内における急性の炎症を指しますが、その発症には細菌感染だけでなく、胆管内圧の上昇も関与します。診断と治療が遅れると、血中またはリンパ流中に細菌や内毒素が移行し、敗血症など深刻な事態に進展するリスクがあります。初期の治療には、絶食、輸液、抗菌薬が含まれますが、治療の反応が不十分な場合は胆道減圧ドレナージが必要になります。

重症度の判定

重症度は以下に分類されます。

• - 重症：ショックや意識障害、急性腎不全を伴う状態。
• - 中等症：ビリルビンの上昇、低アルブミン血症、腎機能障害、高熱などが見られます。
• - 軽症：上記のいずれにも当てはまらない状態です。

使用される抗菌薬

胆管炎は、腎盂腎炎とともに血液培養で菌が検出されやすい疾患です。抗菌薬の選択は、血液や胆汁の培養結果に基づいて行われます。特に、ESBL産出菌やAmpC過剰産出菌への対応が必要な場合もあります。治療の期間は、患者の状態やドレナージが成功したかどうかによって変動し、10～14日の治療が通常ですが、菌血症を伴う場合はさらに延長が必要です。

このように胆管炎は多様な病態を持ち、症状や治療方法も様々です。早期の診断と適切な治療が求められます。

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