胡烈

胡烈の生涯

胡烈（こ れつ）は、中国の三国時代から西晋にかけて重要な役割を果たした武将で、魏および西晋に仕官しました。彼は雍州安定郡臨涇県に生まれ、父は胡遵、子は胡淵という家族背景を持ち、兄弟には胡広、胡奮、胡岐がいます。胡烈はその勇敢さと戦略的な思考で歴史に名を刻みました。

経歴と戦績

胡烈は甘露2年（257年）8月、泰山太守として職務を遂行していた時期に特筆すべき功績をあげます。この年、反乱を企てる諸葛誕が動く中、胡烈は道を逸れ、敵である呉の将軍朱異を都陸で襲撃し、貴重な軍需品を燃やすという戦果を獲得しました。この戦闘は諸葛誕の乱の一環として記録されています。

次に、景元2年（261年）3月、胡烈は襄陽太守として上奏を行い、呉の鄧由らが帰順する意図に応じて迎えて敵軍を打破したいと申し出ました。しかし、王基がその帰順を疑い、さらに司馬昭がその判断に従ったため、出兵は実現しませんでした。結局、鄧由らは帰順することなく、胡烈の計画は頓挫しました。

その2年後、景元4年（263年）には従軍し、蜀漢を討伐する任にあたります。この時、鍾会の配下として陽安関を襲撃し、蔣舒を降伏させ、さらに傅僉を撃破する活躍を見せました。別働隊の鄧艾が成都に迫った際、蜀漢の皇帝劉禅は降伏を決断し、征蜀は幕を閉じることとなりました。しかし、その後、胡烈は鍾会の反乱計画を知ることとなり、鍾会と共に幽閉される事態に陥ります。

幽閉中、胡烈は丘建の従卒が食料を届けるのを受け、自身の従卒にも危険情報を流しました。「鍾会は大穴を掘り、敵を次々に殺している」という虚報を立てた結果、胡烈の子胡淵を始めとする部隊は鍾会らを急襲し、胡烈は救出されることに成功しました。この出来事は蜀漢の滅亡に大きな影響を及ぼすことになります。

その後、咸熙元年（264年）には荊州刺史として、呉の包囲を受けていた永安の羅憲の救援に向かい、敵軍を退けることに成功しました。また、魏から西晋への禅譲後の泰始4年（268年）10月に、呉の万彧の襲来に対して迎撃し撃退する活躍もしました。

ところが泰始5年（269年）2月には秦州に異民族・鮮卑の騒動を鎮圧するために刺史として指名を受けますが、276年6月、彼はこの地で鮮卑の禿髪樹機能との戦闘に敗北し、戦死してしまいました。彼の敗因は、援軍が来なかったことにあります。扶風王司馬亮は部下に救援を命じていましたが、劉旂と敬琰は敵を恐れて進軍せず、胡烈は孤立してしまったのです。

この事件は、司馬亮に深い責任を負わせ、彼は平西将軍への降格を余儀なくされ、部下の劉旂は処刑されることになりました。司馬亮が上奏を行い、劉旂の死罪を取りやめるよう懇願しましたが、天子武帝司馬炎はこれを拒否し、司馬亮からは全ての官職を剥奪するという厳罰が下りました。また、晋の重臣である陳騫は、胡烈と牽弘が思慮に欠けるため、辺境の任務は向いていないと警告していました。後に彼らが異民族との戦闘で敗死する結果となり、司馬炎はこの助言を無視していたことを悔い、教訓となるのです。

胡烈の生涯は、勇敢さだけでなく、その時代の政治的背景、戦略家としての素質をも示しており、古代中国史において重要な位置を占める武将として記憶されています。

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