朱異

朱異（しゅ い）

朱異は、中国三国時代の呉に仕えた武将で、字は季文、揚州呉郡呉県の人です。父は朱桓、従父は朱拠という家柄に生まれました。

生涯

幼い頃からその聡明さは評判で、朱拠も感心したと伝えられています。孫権は父が高官であることを理由に朱異を郎に取り立てました。父の死後、騎都尉となり、父の兵を預かるようになります。

赤烏4年（241年）、朱然の指揮下で樊城攻撃に参加。自ら献策して呂拠と共に城の外郭を壊し、その功績により偏将軍となりました（芍陂の役）。孫権は朱異と軍事について論じ合い、その応対を気に入り、「肝が据わった噂通りの男」と朱拠に語ったとされています。

魏の文欽が砦を多数築き、呉の降伏者を収容して国境で略奪を働いていた際には、朱異は二千の兵を率いてこれを打ち破り、揚武将軍に昇進しました。赤烏13年（250年）には、文欽の偽りの降伏を見抜き、孫権に警戒を進言。しかし、文欽は現れませんでした。

建興元年（252年）、鎮南将軍に昇進。魏が東興に侵攻してくると（東興の戦い）、水軍を指揮して魏軍の浮橋を破壊し、呉の勝利に大きく貢献しました。

諸葛恪の魏侵攻にも参加しますが、合肥新城が落城しないと悟り、軍を豫章の石頭城に転進させる献策をします。しかし、諸葛恪に拒絶されたため、怒って暴言を吐き、兵を取り上げられて建業に戻されました。

諸葛恪の死後、孫峻の軍事行動に参加。五鳳3年（256年）に呂拠が謀反を起こすと、孫峻の後を継いだ孫綝の命令に従い、その討伐にあたりました。

太平2年（257年）、仮節・大都督となり孫綝の命を受け、3万の兵を率いて寿春の諸葛誕の援護に向かいます。先行した文欽や全端らの軍は寿春に入城を果たしますが、朱異は孫壱の討伐を命じられていたため、寿春周辺に到着した時には魏軍による包囲網が完成しており、入城できませんでした。包囲陣の突破を試みるも、州泰に撃退されます。孫綝から再度出撃を命じられますが拒否したため、激怒した孫綝に誅殺されました。この時、陸抗の制止も聞かず、孫綝を疑うことなく参内。捕縛された際には猛抗議しましたが、そのまま絞め殺されたと伝えられています。

陳寿は、朱異を父の名を辱めない将軍と賞賛しつつも、呂拠と同様に、性格的な欠点がないにも関わらず非業の死を遂げたことを、時代の変化によるものと評しました。

三国志演義

『三国志演義』では、敗北を重ねて諸葛誕の救援に失敗し、孫綝に斬られる将軍として描かれています。

人物評価

朱異は、聡明で軍事的才能に長けた武将であり、呉の国のために数々の功績を挙げました。しかし、その性格からか、あるいは時代の流れか、最終的には悲劇的な最期を遂げることとなりました。

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