能登食祭市場

石川県七尾市府中町に位置する能登食祭市場は、七尾湾に面したウォーターフロントに整備された、地域の一大交流・観光拠点です。市場機能だけでなく、海産物や地元の特産品を扱う商業施設、多様な飲食店が集積するグルメスポットとしての役割も担っています。公的な位置づけとしては、「みなとオアシス七尾能登食祭市場」としてみなとオアシスに、また石川県道132号七尾港線の一部として「道の駅能登食祭市場」に登録されており、その重要性がうかがえます。地元や観光客からは、「七尾フィッシャーマンズ・ワーフ」という通称でも親しまれています。

施設の特徴と背景

この施設は、七尾市の姉妹都市であるアメリカ合衆国カリフォルニア州モントレーの沿岸都市によく見られる観光地「フィッシャーマンズワーフ」に着想を得て計画、建設されました。「漁師の波止場」を意味するそのコンセプトを踏襲し、第三セクターである株式会社香島津が主体となって整備が進められました。建物全体は、港町の風景に溶け込むよう、魚と倉庫をイメージした独特の外観デザインが採用されています。

施設構成と提供サービス

能登食祭市場の建物内部は主に1階と2階で構成されています。1階には、能登の新鮮な海の幸や地元の農産物が豊富に並ぶ「能登生鮮市場」があります。また、地元の工芸品や菓子、海産加工品など、能登ならではの土産物が見つかる「里山里海百貨店里乃蔵」、気軽に食事ができるレストランやフードコートが集まった「里山里海小路」があります。イベントや集会に利用できる多目的スペース「モントレーホール」も1階に設けられています。2階は「能登グルメ館」として、能登の味覚を堪能できる多様なレストランが集まっています。建物外には広々とした駐車場（普通車約200台、大型車15台、身障者用1台）や多機能トイレが完備されています。隣接する七尾マリンパークからは、七尾湾を周遊する遊覧船「Sea Bird」が運航されており（冬季を除く）、海上からの景色も楽しめます。マリンパークでは、毎年夏に国際的な「モントレー・ジャズフェスティバル・イン・能登」が開催され、文化交流の場としても賑わいます。

歴史と能登半島地震からの復興

能登食祭市場は1991年 9月21日に開業しました。その後、2003年には「みなとオアシス」に、2009年 3月12日には「道の駅」に登録され、地域の重要なインフラとしての地位を確立しました。しかし、2024年 1月1日に発生した能登半島地震により、施設は甚大な被害を受けました。建物内の床に亀裂が入り、液状化現象によって出入口や駐車場が隆起・陥没するなど、営業継続が不可能となり、全館休業を余儀なくされました。地震直後の一時期は立ち入りが制限される状況でしたが、出入口には「負けないぞ!! 七尾!! 皆んなで支えよう能登半島」という復興への強い決意を示すメッセージ幕が掲げられました。建物の専門家による詳細な調査を経て、早期の営業再開に向けた努力が続けられました。その結果、同年4月下旬には期間限定で復興イベント「復活！食祭楽市」が開催され、多くの来場者で賑わいました。そして、同年5月18日からは一部店舗に限り、日時を限定して営業を再開し、本格的な復興への確かな一歩を踏み出しました。同年9月には、復興支援を目的とした全国ネットのチャリティー特別番組の一部が生中継されるなど、復興に向けた取り組みが広く知られる機会となりました。

交通アクセス

交通の便も良好で、公共交通機関を利用する場合、JR七尾線またはのと鉄道七尾線の七尾駅から徒歩約10分で到着します。路線バスも充実しており、北鉄能登バス（和倉線）、能登島交通（曲線）、七尾市コミュニティバス（まりん号、ぐるっと7）のいずれも「食祭市場」バス停が施設の目の前にあり、アクセスが容易です。自動車を利用する場合、能越自動車道の田鶴浜インターチェンジから約18分、七尾城山インターチェンジから約10分と、高速道路からのアクセスも便利です。

能登食祭市場は、地域の食と文化、そして復興のシンボルとして、これからも多くの人々に利用されることが期待されています。訪れる際は、公式サイトなどで最新の営業時間や休館日を確認することをお勧めします。

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