脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症とは

脊柱管狭窄症（せきちゅうかんきょうさくしょう、Spinal stenosis）は、脊柱管または椎間孔が異常に狭くなることで、内部の脊髄や神経根が圧迫される状態を指します。この圧迫により、様々な神経症状が現れるのが特徴です。

症状

主な症状としては、腕や脚の痛み、しびれ、筋力低下などが挙げられます。これらの症状は徐々に現れることが多く、特に腰を前に曲げると症状が和らぐ傾向があります。重症化すると、排尿障害や便失禁、性機能障害といったより深刻な問題を引き起こすこともあります。

原因

脊柱管狭窄症の主な原因としては、以下のようなものが考えられます。

変形性関節症
関節リウマチ
脊椎腫瘍
外傷
骨ページェット病
脊椎側彎症
脊椎すべり症
軟骨無形成症（遺伝性疾患）

これらの要因が複合的に関与し、脊柱管や椎間孔の狭窄を引き起こすと考えられています。

部位による分類

脊柱管狭窄症は、発生する部位によって以下の3つに分類されます。

頚部狭窄
胸部狭窄
腰部狭窄

このうち、最も頻度が高いのが腰部狭窄であり、次いで頚部狭窄が多く見られます。

診断

診断は、患者の症状と医用画像検査の結果を総合的に判断して行われます。レントゲン検査、CT検査、MRI検査などが用いられ、脊柱管の狭窄の程度や神経の圧迫状況を確認します。

治療

治療法は、症状の程度や患者の状態によって異なります。主な治療法としては、以下のものがあります。

薬物療法：非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）、アセトアミノフェン、ステロイド注射などが用いられます。痛みを和らげ、炎症を抑える効果が期待できます。
装具療法：コルセットなどの装具を装着することで、脊椎を安定させ、症状の緩和を図ります。
リハビリテーション：ストレッチや筋力トレーニングを行い、脊椎周辺の筋肉を強化し、柔軟性を高めることで、症状の改善を目指します。
* 手術療法：上記のような保存的治療で症状が改善しない場合や、重度の神経症状がある場合に検討されます。一般的な手術法としては、脊柱管を広げる減圧椎弓切除術があります。

疫学

脊柱管狭窄症は、最大で人口の8％が罹患すると推定されています。特に50歳以上の高齢者に多く見られ、男女差はほとんどありません。この疾患に関する最初の記録は、1803年にアントニー・ポータルによって記述されましたが、古代エジプト時代にも同様の症状があったことが示唆されています。

まとめ

脊柱管狭窄症は、脊椎の構造的な問題によって神経が圧迫され、様々な症状を引き起こす疾患です。早期に適切な診断と治療を受けることで、症状の進行を抑制し、生活の質を維持することが重要です。気になる症状がある場合は、専門医に相談することをお勧めします。

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