腰越満美

腰越満美：卓越した歌声で魅せるソプラノ歌手

腰越満美（こしごえ まみ）は、日本を代表する声楽家（ソプラノ）、オペラ歌手、そして音楽教育者です。東京都出身で、東京コンセルヴァトワール尚美専門コース、音楽社会研究科、ディプロマコースを修了。その後、二期会オペラスタジオを修了し、修了時には最優秀賞と川﨑靜子賞を受賞しました。さらに、文化庁オペラ研修所第9期を修了後、文化庁芸術家在外派遣研修員として2年間イタリアで研鑽を積みました。

オペラ歌手としての輝かしいキャリア

イタリアでは、1996年にドニゼッティの『愛の妙薬』アディーナ役、1997年にはジョルダーノの『アンドレア・シェニエ』マッダレーナ役を演じるなど、リサイタルやコンサートで活躍しました。帰国後、1994年に二期会オペラ『学生王子』でデビューを果たして以降、数々のオペラで主役を演じました。

新国立劇場では、1997年のオープニング記念オペラ團伊玖磨『建・TAKERU』の夏乃役、1999年の水野修孝『天守物語』の萩役を好演。特に、1998年の二期会公演『フィガロの結婚』のスザンナ役で注目を集め、2002年には二期会・新国立劇場共催公演『忠臣蔵』の綾衣役を演じました。日韓文化交流公演オペラ『春香』ではタイトルロールを演じ、高い評価を得ました。

また、二期会オペラ『蝶々夫人』ではタイトルロールを務め、その演技と歌唱は大きな話題となりました。さらに、2004年には二期会・新国立劇場共催公演『鳴神』で雲の絶間姫役を、同年には宮本亜門演出の『ドン・ジョヴァンニ』で新しいドンナ・エルヴィーラ像を創り上げました。2006年には『フィガロの結婚』の伯爵夫人役でも新境地を開拓するなど、常に新たな役柄への挑戦を続けています。

海外公演にも積極的に参加し、2005年にはコスタリカ国立交響楽団によるオペラ公演『蝶々夫人』にタイトルロールで招聘されました。2007年にはレハールの『メリー・ウィドー』ハンナ役、オッフェンバックの『天国と地獄』ユーリディス役で主演しました。2009年には日本オペラ協会『天守物語』で主演。2010年には新国立劇場で池辺晋一郎の世界初演『鹿鳴館』伯爵夫人朝子役、2011年には新国立劇場で團伊玖磨『夕鶴』つう役（2016年に再演）、2013年には日生劇場で日本初演のアリベルト・ライマン『リア』リーガン役を演じるなど、数々の大舞台で主役を演じました。

2019年には、東京二期会オペラ『金閣寺』で母役を務め、その圧倒的な存在感を示しました。

コンサートや放送での活躍

腰越満美は、オペラだけでなく、コンサートでもその才能を発揮しています。シューベルト『ミサ曲第2番 ト長調』、オルフ『カルミナ・ブラーナ』、ペルゴレージ『スターバト・マーテル』、ヴェルディ『レクイエム』、フォーレ『レクイエム』、ベートーヴェン『第九』、ハイドン『ネルソン・ミサ』、マーラー交響曲第4番などのソプラノソロを務めています。

読売日本交響楽団によるブリテンの『ピーター・グライムズ』（演奏会形式）や、東京交響楽団によるヤナーチェクの『利口な女狐の物語』（演奏会形式）など、数々のコンサートに出演しています。また、2006年にはベトナム国立交響楽団に招聘され、橋本國彦作品を紹介しました。

放送分野でも、NHK総合『日本うた絵巻』『NHKニューイヤーオペラコンサート』、NHK-FM『名曲リサイタル』、テレビ朝日『題名のない音楽会21』など、数多くの番組に出演しています。さらに、自身の企画によるジャズ・ポピュラーリサイタルを開催するなど、多彩な音楽性を披露しています。

2008年には、紀尾井ホール・シリーズ『歌』声楽家のアトリエ、第23回国民文化祭・いばらき『小町百年の恋』（世界初演・つくば市）で小野小町役を演じました。同年には、民音主催で映画音楽やミュージカルの名曲を歌う「腰越満美リサイタル：マイ・フェイヴァリット･ソング」を開催。2009年には、二期会week in サントリーホール“時を駆ける歌声”で服部克久が贈る日本の歌を披露しました。2012年には、「腰越満美ソプラノリサイタル La strada in Italia」でイタリアオペラのアリアを歌い、観客を魅了しました。

教育者としての側面

2020年11月現在、桐朋学園大学の教授として後進の指導にもあたっています。また、二期会の幹事も務めています。

受賞歴とディスコグラフィー

数々の受賞歴があり、二期会オペラスタジオ修了時最優秀賞及び川﨑靜子賞、第3回日本声楽コンクール入選、1995年フェッルッチョ・タリアヴィーニ国際コンクール第1位などがあります。

ディスコグラフィーとしては、CD『マイ・フェイヴァリット－21世紀に伝えたい日本の歌－』、『武満徹:SONGS』、『二期会メンバーのプリマ・ドンナたちによる美しき日本語の歌 なごみの歳時記』、『ことのはクラシック Vol.3』、オペラ『白虎』などがあります。

腰越満美は、オペラ、コンサート、放送、教育と多岐にわたる分野で活躍し、その卓越した歌声と表現力で多くの人々を魅了し続けています。

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