膳司

膳司（ぜんし/かしわでのつかさ）とは

膳司は、日本の律令神制度における役所の一つで、特に後宮で重要な役割を果たしていました。この官職は、女性によって構成されており、主に試食や御膳の準備、酒や甘酒、餅、果物などの管理を担っています。

構成と職掌

膳司は尚膳（かしわでのかみ）、典膳（かしわでのすけ）、掌膳（かしわでのまつりごとひと）の四等官から成る構造になっています。役職には1名の尚膳と2名の典膳、さらに掌膳が含まれており、この官職は60名の采女を持ち、宮廷における食事管理を行っていました。

職務内容

膳司の主な職務は以下の通りです。まず、御膳についての知識を深め、次に進食に際して先嘗（毒味）を行うことが求められました。そして、膳羞（おいしい料理やご馳走）、酒醴（酒と甘酒）、各種の餅、野菜、果物などを統括し、宮廷の食事を盛り上げる役割を果たしていました。

これらの職掌は内膳司の奉膳に非常に似ていますが、内膳司においては酒醴や餅、蔬の記載がないことがひとつの違いです。餅は大膳職に、酒醴は別の役所である造酒司にその管理が委ねられています。

尚膳について

尚膳は唐の後宮の尚食に相当する役職といわれています。その地位は、正四位に準ずるとされ、後宮十二司の中でも高い位置にありました。また、僅かに下位に位置する縫司の尚縫や、蔵司の長官尚蔵と比べても、重要な役職と見なされていました。

天平神護3年正月に従三位の小長谷女王や、宝亀5年7月に従三位の藤原家子、弘仁6年5月には従三位の永原恵子など、歴史的文献には数多くの三位以上の女性が膳司に就いていた記録があります。ただし、9世紀半ば以降はその地位も徐々に低下し、五位の女性も見られるようになりました。

このように、膳司は日本の古代宮廷において食事の管理を通じて重要な役割を果たしており、その存在は宮廷生活に欠かせないものであったことは間違いありません。膳司の職務からは、その時代の食文化や女性の社会的地位についても多くのことが読み取れます。

参考文献

• - 『続日本紀』4 新日本古典文学大系15 （岩波書店、1995年）

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