臧盾

臧盾（ぞう とん）の生涯と業績

臧盾は478年から543年にかけて南朝梁で活躍した官僚であり、彼の字は宣卿です。出身は現在の東莞郡莒県であり、彼の弟にあたる臧厥も同時代に名を馳せました。臧盾は、父親である臧未甄のもとに生まれ幼い頃から学問に励み、著名な師である諸葛璩から五経を学ぶことで、才覚を発揮しました。この師は、臧盾の将来の重要性を見極め、「王佐の才がある」と評していました。

初めての官職には撫軍行参軍があり、その後尚書中兵郎に昇進します。彼は容姿端麗で礼儀正しい振る舞いから、武帝の前でも賞賛されました。両者の関係は、臧盾が様々な官職を経験し、その才能を発揮する場を提供しました。特に中書通事舎人としての役割は、官僚活動の中でも重要なものでした。

しかし、彼の人生は試練に満ちていました。母親の突然の死に際しては、喪に服すために官を辞し、家族のために廬を結びました。その後、父の死により、計5年間の喪に入ったため、社会との接触が制限されることとなりました。この間、身心ともに深い影響を受け、周囲の人々から見ても痩せ細ったとされます。その後、武帝から孝行を称えられつつも、心身の健康を懸念され、使者が彼の様子を気遣うことがありました。

喪が終わると、臧盾は丹陽尹丞に任じられ、その後も中書郎や中書舎人、尚書左丞など、多様な職務をこなしました。特に武陵王蕭紀のもとでは、東中郎長史としての役目を果たし、会稽郡丞も兼任していました。公務においては、常に高い能力を発揮し、晩年には御史中丞に昇進し、辣腕を振るったことで知られています。

特に有名なエピソードとして、中大通 5年の同泰寺での講義があります。この際、ベトナムから送られた訓練された象が暴れまわり、武帝が乗っていた輿車も危険にさらされる中、動揺する多くの人々の中で唯二人、臧盾と裴之礼だけが冷静さを失わず、武帝から称賛されることとなります。この出来事は、彼の勇気と冷静さを象徴するものです。

臧盾はその卓越した業績を認められ、散騎常侍としての名誉を受けた後、中領軍に昇進。この間、仁威将軍として呉郡太守という重責を担いましたが、健康を害して解職を願い出ることとなります。大同7年には病から回復し、再び領軍将軍に任じられるなど、波乱万丈な人生を送りました。

彼の死去は543年で、その享年は66歳でした。領軍将軍の地位を持ったままでの葬儀は、侍中の位という形で後に追贈され、忠の称号を受けました。

また、彼には息子として臧長博（桂陽郡内史）や臧仲博（曲阿県令）がいます。臧盾の生涯は、家族への深い愛情や公務に対する献身的な姿勢から、多くの人々に影響を与え続けています。彼の伝記は『梁書』や『南史』に詳しく記されており、歴史に名を刻んだ人物として今なお語り継がれています。

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