自動車電話

自動車電話とは

自動車電話（じどうしゃでんわ）は、自動車に搭載された電話機を用いた移動体通信の一形態です。この通信システムは、受話器と機械装置が分離されており、移動中でも安定した通話が可能です。自動車電話は、陸上基地局を介して公衆交換電話網（PSTN）に接続されており、移動電話サービスを提供します。技術的な背景としては、後に普及する携帯電話システムの基礎ともなりました。

欧米における自動車電話の歴史

北アメリカ

1946年、アメリカのミズーリ州セントルイスで、サウスウエスタン・ベル電話会社による最初の公衆交換電話網と接続された自動車向け移動無線電話システムが導入されました。このシステムは手動交換式であり、電話交換手が必要であったため、同時通話の数が制限されていました。周波数は150MHz帯に限定され、通信範囲も広範囲でしたが、ハンドオーバー機能が欠如していました。1961年には400MHz帯が割り当てられ、同時通話可能数が増え、更に1967年には自動交換式のサービスが始まりました。

ヨーロッパ

スイスでは1949年にAutophon社により自動車電話サービスが始まりました。次いで、1950年にドイツ、1951年にスウェーデン、1959年にイギリス、1969年にフランスでそれぞれ手動交換式の自動車電話が導入されました。

日本における自動車電話の発展

日本では、民生用の自動車電話サービスが始まる以前から、警察や消防用の通信機器が存在していました。これらは主に幹部職員が連絡を取るために使用されていました。民生用自動車電話のサービスも広がり、特にビジネスマンや官僚の車両に設置されることが多かったです。

1980年代には新規事業者の参入によって競争が始まり、料金が低下しました。この時期には、土木現場やイベント会場での通信手段としても利用されるようになりました。しかし、携帯電話技術の進化に伴い、自動車電話の重要性が低下し、契約数は減少していきました。NTTとauによる自動車電話は、PDC方式に基づいた「デジタルカーホン」として提供されていましたが、2000年代に入りほぼ使用されなくなりました。

NTTの取り組み

1954年、NTTはアナログ携帯電話システムの研究を始め、その後1961年には手動交換式の自動電話システムを開発しました。しかし、400MHz帯の使用に限界があり、民間用サービスとしては1979年に800MHz帯を用いた自動車電話サービスを開始しました。これにより、より多くの移動通話が可能になり、顧客層も広がりました。1980年代には、ショルダーホンが普及し、1991年には小型化が進んだmovaが登場しました。最終的には、2012年に自動車電話サービスは終了しました。

auの発展

1985年の通信自由化政策により、旧IDOやDDIセルラーグループ（現au）が自動車電話事業に参入しました。アナログとデジタルの自動車電話を提供してきましたが、最終的には第三世代携帯電話への移行が進み、自動車電話サービスはテレマティクス型へとシフトしています。

コンビニエンス・ラジオ・ホン

コンビニエンス・ラジオ・ホンは、800MHz帯を利用した自動車向け移動体通信の一種で、当初は安価なサービスを提供していましたが、通話規制やエリア制約等あって利用が難しく、1997年までにサービスは終了しています。

おわりに

自動車電話は、移動体通信の発展を促した重要な技術かつサービスでしたが、携帯電話の普及によりその地位は変化しました。その歴史を知ることは、現代の通信技術へと続く道筋を理解するために価値があります。

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