興浜北線

興浜北線：オホーツク海の沿岸を走った地方交通線

興浜北線は、北海道のオホーツク海沿岸を南北に縦断する、かつての国鉄地方交通線でした。1936年の開業から1985年の廃止まで、地域住民の生活を支え、北海道北部の歴史に深く関わっています。本記事では、興浜北線の歴史、路線データ、廃止に至った経緯などを詳しく解説します。

路線概要

興浜北線は、北海道枝幸郡浜頓別町の浜頓別駅から、オホーツク海に沿って南下し、同郡枝幸町の北見枝幸駅までを結ぶ路線でした。全長30.4km、9つの駅（うち仮乗降場3駅）を有し、全線単線非電化、票券閉塞式という、地方交通線らしいシンプルな構造でした。天北線から分岐する路線であり、当初は興浜南線と接続し、興部から浜頓別までを結ぶ興浜線として計画されていました。

建設と開業

興浜北線の建設は、沿岸地域の開発促進を目的として計画されましたが、着工は容易ではありませんでした。計画から開業までには紆余曲折がありました。1929年に枝幸村長らが上京して陳情を行ったことが契機となり、1933年から本格的な工事が開始され、1936年7月10日に浜頓別～北見枝幸間が開業しました。沿線の漁業や林業の発展に貢献した一方、太平洋戦争末期の1944年には不要不急線として全線が休止、線路は撤去されました。しかし、終戦直後の1945年には、地元からの強い要望を受け、わずか2ヶ月で復旧し、同年12月5日に営業を再開するという、奇跡的な復活劇を遂げました。

廃止までの経緯

開業後も、興浜北線は地域住民の重要な交通手段として利用されていましたが、1950年代後半から、過疎化やモータリゼーションの進展により、利用客は減少の一途を辿りました。1970年度には20万人以上いた年間輸送人員は、1981年度には8万人程度にまで減少しました。赤字経営が続き、1983年度の営業係数は2,542、赤字額は4億7,800万円に達しました。

これらの状況を踏まえ、興浜北線は1980年の国鉄再建法に基づき、第1次特定地方交通線に指定され、1985年7月1日に全線が廃止となりました。興浜南線と共に廃止され、一部完成していた未成区間も放棄されました。興浜北線の廃止は、地域の交通網に大きな影響を与え、バス路線への転換が行われました。

未成線と周辺路線との関係

興浜北線は、当初は興浜南線と接続し、オホーツク海沿岸を縦貫する鉄道として計画されていました。また、北見枝幸駅からは、美深駅を起点とする美幸線との接続も計画されていましたが、これも実現しませんでした。さらに、廃止協議の過程では、天北線、名寄本線、湧網線、釧網本線と一体化させた「オホーツク縦貫鉄道構想」も検討されましたが、多額の赤字が見込まれたため、実現には至りませんでした。これらの計画は、興浜北線の歴史を考える上で重要な要素であり、沿線地域の開発計画や交通政策の変化を反映しています。

まとめ

興浜北線は、地域開発の夢を乗せて開業しましたが、時代の流れとともにその役割を終えました。その歴史は、地方交通線の盛衰、過疎化問題、そして地域開発計画の難しさなどを象徴的に物語っています。興浜北線の歴史を学ぶことは、日本の地方鉄道の歴史、そして現代社会が抱える課題を考える上で貴重な機会となるでしょう。現在では、当時の面影を偲ぶのは困難ですが、地域の人々の記憶の中に、興浜北線は確かに存在し続けています。

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