舩木道忠

舩木道忠の生涯と影響

舩木道忠（ふなき みちただ）は、1900年5月18日に島根県八束郡湯町村志布名に誕生した陶芸家で、布志名焼の舩木窯4代目の当主です。彼は、江戸時代中期に松江藩の藩主によって開かれた出雲焼の窯元、舩木窯の家系に生まれました。道忠の父は3代目の次男であり、彼の背景には長い陶芸の歴史がありました。

高校卒業後は、東京美術学校で洋画を学ぶものの、卒業を機に故郷に戻り、陶芸の道を歩むことを決意します。こうして彼は、舩木窯の4代目として家業に従事し始めました。明治および大正の時代には、舩木窯は美術工芸品の制作を行い、その技術はフランスのリモージュやアメリカのルックウッドと競り合っていました。

しかし、昭和に入ると輸出は減少し、陶芸業界は厳しい状況に直面します。こうした時期に彼は、著名な美術館の創始者、大原孫三郎と出会い、個人陶芸家としての活動を始めます。その中で、彼の作品は有名な陶芸家バーナード・リーチの目に留まり、柳宗悦が提唱した「民藝運動」にも関わるようになりました。

1931年には柳と河井寛次郎が舩木窯を訪れ、次の年には濱田庄司が訪れ、さらに1934年にはリーチが滞在し、道忠と共に作陶活動を行っています。リーチは道忠の作った陶器に触れ、日本にも「ガレナ釉」に匹敵する伝統的な黄色い釉薬が存在することを知ります。彼らの友意は深まり、道忠は日本での「スリップウェア」の復元に貢献し、自らの作品作りの中でもスリップウェアに取り組むようになりました。

1935年には国画会の会員になり、1962年には島根県の無形文化財として志布名焼技術の保持者に認定されます。しかし、1963年に道忠は63歳でこの世を去りました。

家族と次の世代の陶芸家

道忠には長男の舩木研兒がいます。研兒は1927年に生まれ、布志名焼舩木窯の5代目として活躍しました。彼は濱田庄司に師事し、琉球政府の招きに応じて壺屋焼の窯元で「赤絵」の試作を行いました。また、1967年に渡英し、「リーチ・ポタリー」でバーナード・リーチやデイヴィッド・リーチのもとで学びました。研兒は動物や鳥をモチーフにした独特のスリップウェアの作風を確立しました。

道忠の孫であり、研兒の息子である舩木伸児は、布志名焼舩木窯の6代目として自身のスリップウェアのデザインを通じて陶芸の伝統を受け継いでいます。このように、舩木家の陶芸は三代にわたって発展し、独自の表現方法でスリップウェアの魅力を広げ続けています。

参考文献

• - 室伏哲郎『陶芸事典 Encyclopedia of ceramics』日本美術出版、1991年。
• - 誠文堂新光社『スリップウェア Slipware』誠文堂新光社、2016年。

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