遭難自動通報局

遭難自動通報局とは

遭難自動通報局は、遭難が発生した際に、自動的に救助を求める信号を発信する無線局の一種です。電波法に基づき、遭難者の位置情報を特定し、迅速な救助活動を支援することを目的としています。

定義

電波法施行規則において、遭難自動通報局は「遭難自動通報設備のみを使用して無線通信業務を行う無線局」と定義されています。

遭難自動通報設備は、以下の4種類に分類されます。

1. 携帯用位置指示無線標識（PLB）: 携帯して使用するもので、人工衛星や航空機に対し、電波の発信地点を知らせる信号を送信します。
2. 衛星非常用位置指示無線標識（EPIRB）: 船舶が遭難した際に、人工衛星や航空機に対し、電波の発信地点を知らせる信号を送信します。
3. 捜索救助用レーダートランスポンダ（SART）: 船舶が遭難した際に、レーダー波に応答して電波を発信し、レーダー画面上に位置を表示させます。
4. 捜索救助用位置指示送信装置: 船舶が遭難した際に、船舶自動識別装置などに位置情報を送信します。

概要

以前は、船舶に搭載されるEPIRBやSARTが主な遭難自動通報設備でしたが、近年では個人用PLBのニーズも高まっています。遭難自動通報局は、移動局の一種としても扱われます。

船舶に搭載されるEPIRBやSARTは、船舶に免許が付与されます。一方、PLBは個人に免許が付与されます。PLBの免許申請には、申請者以外の連絡先を2ヶ所以上登録する必要があります。

免許

無線局の免許は、原則として外国籍の者には付与されませんが、遭難自動通報局は電気通信業務用ではないため、例外的に外国籍の個人や企業・団体でも開設が可能です。

遭難自動通報局の種別コードはDSで、免許の有効期間は5年です。EPIRBやSARTは、無線機器型式検定規則に基づく「検定合格機器」、PLBは、特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則に基づく「適合表示無線設備」である必要があります。

簡易な免許手続が適用されるため、予備免許や落成検査は不要です。

用途

遭難自動通報局は、主に救難を目的として利用されます。

周波数

EPIRBやPLBは、406MHz帯の周波数を使用し、航空機ホーミング用の121.5MHzを付加したものもあります。SARTは、9350MHzを使用します。

無線局免許状の備付け

無線局免許状は、原則として無線局に備え付ける必要がありますが、PLBのみの場合は、常置場所に備え付ければよいとされています。

表示

検定合格機器には、検定マークとEPIRBまたはSARTを表す記号の表示が必要です。適合表示無線設備には、技適マークと技術基準適合証明番号の表示が必要です。

旧技術基準の機器の使用

旧技術基準に基づく無線設備の免許は、2017年11月30日までとされ、使用は2022年11月30日までとされていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、使用期限は当分の間延期されています。

運用

遭難自動通報局の運用は、無線局運用規則の海上移動業務、海上移動衛星業務及び海上無線航行業務に関する規定に従います。

機能試験

EPIRBやSARTは、1年以内の期間ごとに機能試験を実施し、結果を2年間保存することが義務付けられています。

操作

遭難自動通報設備は、無資格者でも操作できます。

検査

落成検査は不要ですが、定期検査はPLBのみの場合を除き実施されます。検査周期は、船舶安全法の規定により備え付けが義務付けられている場合は2年、それ以外の場合は5年です。

登録検査等事業者等による検査の結果に基づき、検査が省略される場合があります。

沿革

遭難自動通報局は、技術の進歩や社会情勢の変化に合わせて、定義や規格が変更されてきました。当初は、船舶用の無線設備として登場しましたが、後に個人用の携帯端末が追加され、利用範囲が拡大しました。

電波利用料

遭難自動通報局には、電波法に基づき電波利用料が課せられます。

その他

遭難自動通報局は、非常時のみ使用されるため、再免許を怠るケースが見られますが、これは不法無線局となるため注意が必要です。

脚注

詳細は、総務省の電波利用ホームページや関連資料をご確認ください。

関連項目

無線局
移動局
船舶局
無線航行移動局
遭難信号

外部リンク

総務省電波利用ホームページ
* 全国船舶無線協会

この情報は、遭難自動通報局に関する一般的な情報を提供することを目的としています。詳細については、関連法規や専門機関にご確認ください。

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