船舶局無線従事者証明

船舶局無線従事者証明とは

船舶局無線従事者証明は、義務船舶局などに設置された無線設備の操作やその監督を行うために必要な証明です。単に無線従事者の資格を持っているだけでは、これらの業務を行うことはできず、この証明を取得する必要があります。

概要

電波法第48条の2において、義務船舶局等の無線設備の操作または監督を行う者は、総務大臣に申請して船舶局無線従事者証明を受けることができると定められています。また、同法第39条では、無線設備の操作は、有資格者（義務船舶局等における特定の無線設備の場合は、船舶局無線従事者証明を受けた者）が行わなければならないと規定されています。

義務船舶局等とは、電波法第34条の2に規定されており、具体的には義務船舶局と、義務船舶局を持つ船舶に開設される船舶地球局を指します。これらの無線設備を操作・監督するには、無線従事者資格に加えて、船舶局無線従事者証明が必須となります。

この制度は、1984年に発効したSTCW条約（船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約）に基づいています。具体的には、船舶の通信長として乗船するためには、海技士（通信）または海技士（電子通信）の資格に加え、この船舶局無線従事者証明が必要となります。

対象となる無線従事者

電波法施行規則第34条の11に規定されている、以下の無線従事者資格を持つ者が対象です。

第一級総合無線通信士
第二級総合無線通信士
第三級総合無線通信士
第一級海上無線通信士
第二級海上無線通信士
第三級海上無線通信士
第一級海上特殊無線技士

取得方法

船舶局無線従事者証明は、以下のいずれかの条件を満たすことで取得できます。

義務船舶局等の無線設備の操作または監督に関する訓練課程を修了した場合
上記と同等の内容を持つと認定された訓練課程を修了し、5年以内である場合

失効条件

船舶局無線従事者証明は、以下の条件に該当する場合に失効します。

訓練課程修了日から5年以内に、義務船舶局等の無線設備に関する業務に従事せず、再訓練も修了しなかった場合
上記業務に5年間従事せず、かつ、訓練課程も修了しなかった場合
無線従事者資格を喪失した場合
書類提出を怠り、船舶局無線従事者証明の効力を停止され、停止期間が5年を超えた場合

訓練

無線従事者規則では、訓練を単に「証明」と定義しています。電波法第48条の2第2項の訓練を「新規訓練」、同法第48条の3の訓練を「再訓練」と規定しています。訓練は、総務省告示に基づいて実施されます。

実施者

訓練は、国（総合通信局長）が実施します。新規訓練については、日本無線協会も実施しています。その他、総合通信局長の認定を受けた団体も訓練を実施できます。

日本無線協会は、日本船員雇用促進センターからの委託により、外国人船員を対象とした外国での第三級海上無線通信士と第一級海上特殊無線技士の養成課程に引き続き新規訓練を実施しています。

訓練時間

無線従事者規則別表第23号に定められています。総合通信局長が特に必要と認めた場合は、別の時間が設定されます。

講師の要件

講師は、第一級総合無線通信士の資格を持ち、証明を受けた者（または同等以上の知識・技能を有する者）で、総合通信局長が適当と認めた者である必要があります。

訓練修了の記録

訓練実施者は、課程修了者に修了証明を行います。

訓練手数料

2004年3月29日以降、新規訓練は19,900円、再訓練は3,400円です。

船舶局無線従事者証明書

証明を受けようとする者は、申請書を総務大臣に提出する必要があります。総務大臣は証明を行った際、船舶局無線従事者証明書を交付します。

訂正・再交付

氏名に変更があった場合は、証明書の訂正が必要です。再交付も可能です。また、証明書を汚損・破損・紛失した場合、または経歴欄の余白がなくなった場合も再交付が必要です。

返納

証明書が失効した場合、または取り消し処分を受けた場合は、失効日または処分日から10日以内に証明書を返納する必要があります。再交付後に紛失した証明書を発見した場合も同様です。また、証明を受けた者が死亡または失踪宣告を受けた場合、戸籍法に基づく届出義務者が証明書を返納しなければなりません。

申請手数料

2004年3月29日以降、申請手数料は2,450円、再交付手数料は2,850円です。

沿革

この制度は1983年に制度化されました。

関連情報

無線従事者
総務省電波利用ホームページ
日本無線協会
* 認定新規訓練についてのＦＡＱ

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