花の御所

花の御所（はなのごしょ）

花の御所とは、現在の京都府京都市上京区に位置していた足利将軍家の邸宅の通称であり、古くから重要な歴史的地点の一つです。具体的には、敷地は東側で烏丸通、南側で今出川通、西側で室町通、そして北側で上立売通に囲まれています。京都[[御所]]の北西に、ナナメ向かいの一角にあたる位置に存在していました。

概要

花の御所は、もともと室町家の花亭と今出川家の菊亭を統合し、広大な邸宅を形成しました。この場所は、現在の同志社大学今出川校地と向かい合う形で、同志社大学・寒梅館の南に位置しています。邸内に存在する岡松殿から始まる大聖寺のみが現存し、当時の面影を残しています。

正門は室町通に面し、このため「室町殿」、「室町第」とも呼ばれています。足利将軍家に関連した地名としては「室町家」もあり、古くから幕府と称されていました。これは、将軍の居所として用いられたためで、「室町幕府」として足利家の政権を指す表現もこの背景に基づきます。なお、「北小路亭」という呼称もあり、この北小路は現在の今出川通を意味しています。

沿革

南北朝時代、足利尊氏は後醍醐天皇と対立し、京都に武家政権を設立しました。彼は初めに二条高倉に住んでいましたが、2代将軍の足利義詮が京都に戻る際に、足利直義が居住していた三条坊門第に入居したのが始まりです。しかし、この邸宅は観応の擾乱によって焼失し、その後に仮の邸宅を設けました。将軍就任後、直義の為の八幡宮を設立し、その東隣に新しく相応しい邸宅として三条坊門第を造営することになりました。

花の御所との関わりは、義詮を起源とし、彼が室町季顕から花亭を買収したことで始まります。この花亭が後に崇光上皇の御所となり、「花の御所」と命名されました。ものの、しばらくしてからその使用は被られなくなりました。

3代将軍の足利義満は1378年、北小路室町における崇光上皇の御所跡と、菊亭の焼失跡を統合し、広大な敷地に新たな邸宅を建設しました。この新しい邸宅は「上御所」と呼ばれ、従来の坊門三条殿は「下御所」と名付けられるようになりました。工事が続行され、1381年には完成しました。

この頃、邸内の庭には鴨川の水が引かれ、多様な花木が植えられ、四季折々の景観が楽しめました。義満はここで詩歌や蹴鞠の会を催し、重要な文化的な場としました。

1394年、義満は将軍職を息子の義持に譲り、北山第に移転しましたが、その後、義持は不和の末に再び三条坊門第を拡大しました。1431年には足利義教が花の御所に住むことになり、また義政もここを居所として改築しました。応仁の乱が起こると、両天皇が花の御所に避難し、それに伴い仮の内裏が設けられましたが、1476年に戦火で消失しました。室町殿はその後も再建を繰り返しましたが、1559年には足利義輝が三管領家の邸宅に移転し、その結果廃止されることとなりました。

跡地とその後の影響

安土桃山時代には、かつての花の御所の敷地には公家町が形成されました。戦乱が終わり、京都に戻る公家たちが住居を広げる中、このエリアも様相を変えていきました。江戸時代に入ると、花の御所が存在した場所には新たに裏辻家や錦織家が設立されましたが、今出川および室町通に面した地域には町人の町屋が多く存在したようです。

度重なる戦乱の結果、当時の建物は失われましたが、岡松殿から続く尼門跡寺院の大聖寺が今もなお存在し、花の御所の歴史的な地域を物語っています。さらに、室町時代の地方の守護たちは、花の御所を模倣し、庭を造ることでその文化を表現していました。

アクセス

花の御所の跡地には、京都市営地下鉄の今出川駅から容易に足を運ぶことができ、駅の出口はかつての花の御所の敷地内に位置しているのです。

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