花山院師信

花山院師信（かさんのいん もろのぶ）

花山院師信は、鎌倉時代後期に活躍した公卿です。内大臣・花山院師継を父に持ち、官位は最終的に従一位・内大臣にまで昇りました。

経歴

後宇多天皇の時代に蔵人頭からキャリアをスタートさせ、17歳で参議に任じられると、正安元年（1299年）には権中納言、嘉元元年（1303年）には権大納言へと順調に出世を重ねました。徳治3年（1308年）には兵部卿に任じられています。

師信は、二度にわたる後宇多上皇の院政において院伝奏を務め、上皇の信任を得ました。特筆すべきは、対立関係にあった持明院統の花園天皇からもその才能を高く評価されていた点です。花園天皇は師信を「和漢の才に富んだ補佐役」と評し、厚い信頼を寄せました。花園天皇の時代には、大覚寺統系の公家が要職から外される傾向にありましたが、師信は正和5年（1316年）に異例の大納言昇進を果たしています。正和6年（1317年）には従一位に叙されました。

その後、大覚寺統に政権が移り、後醍醐天皇が即位すると、元応元年（1319年）には内大臣に昇進しました。しかし、そのわずか2年後に病のため亡くなりました。花園上皇は、師信の死を「大きな損失である」と日記に記し、その死を悼みました。このことからも、師信が大覚寺統と持明院統の双方からいかに高く評価され、惜しまれていたかがわかります。

系譜

父：花山院師継
母：家女房毛利季光娘
妻：恵一（僧。五辻忠継の子）の娘
子:
次男：花山院師賢 - 元弘の変で後醍醐天皇方として活躍
男子：花山院兼信 - 権中納言。花山院師兼の父という説もあります。
男子：花山院信忠
男子：賢季

花山院師信は、鎌倉時代後期という動乱の時代において、大覚寺統と持明院統の対立を超えて、双方から信頼された稀有な公卿でした。彼の存在は、当時の政治状況を理解する上で重要な鍵となります。

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