毛利季光

毛利季光：鎌倉幕府を支えた武士、そして毛利氏の祖

毛利季光（もうり すえみつ）は、鎌倉時代前期に活躍した武士であり、鎌倉幕府の御家人でした。彼は、公家出身の大江広元を父に持ち、武士として名を成し、後の戦国大名・毛利氏の礎を築きました。

生涯

季光は、鎌倉幕府3代将軍・源実朝に仕え、鶴岡八幡宮への参拝行列では先駆けを務めました。実朝の死後、出家して西阿と名乗ります。

承久3年（1221年）の承久の乱では、北条泰時のもとで後鳥羽上皇方の勢力と戦い、美濃国の木曽川、山城国の宇治川・淀川での戦いで武功を挙げました。この功績により、安芸国吉田荘の地頭職を与えられ、この地が毛利氏の拠点となります。

天福元年（1233年）には、執権・北条泰時によって関東評定衆に任命され、幕政に参与しました。寛元4年（1246年）には、藤原頼経・頼嗣父子を自邸に迎え、将軍となったばかりの頼嗣の甲冑着初式を行うという栄誉に浴します。

宝治合戦と一族の終焉

宝治元年（1247年）、北条氏執権派と対立した妻の実家・三浦氏に味方し、宝治合戦で敗北。鎌倉法華堂で息子たちと共に自害しました。合戦の直前、季光は将軍御所へ向かおうとしましたが、妻の「兄・三浦泰村を見捨てることは武士道に反する」との言葉を受け、三浦氏に味方したと伝えられています。

この合戦により、毛利一族の多くが命を落としましたが、越後国にいた四男・毛利経光の家系のみが生き残りました。この経光の子孫から、戦国時代に中国地方の覇者となる毛利元就が現れます。

北条氏との姻戚関係

季光の娘は、宝治合戦を指揮した北条時頼の正室でしたが、戦後に離縁しています。一部の系図では、時頼の子・北条時宗の母を季光の娘としていますが、複数の史料から時宗の母は北条重時の娘であることが判明しており、この説は否定されています。

家系

毛利氏は、元々学者の家系である大江氏の流れを汲みます。父・大江広元は、源頼朝に招かれて都から鎌倉へ下り、幕府の創設に尽力しました。季光は、父の所領の一部である相模国毛利荘（現在の神奈川県厚木市）を相続し、毛利氏の祖となりました。正式な名は「大江季光」ですが、領地の名を取り「毛利季光」と名乗るようになったのです。

公家出身の父とは異なり、武士として東国に土着した季光。彼の血筋は、幾多の困難を乗り越え、戦国時代に毛利元就という傑出した人物を輩出することになるのです。

参考文献

今井尭ほか編『日本史総覧』 3（中世 2）、児玉幸多・小西四郎・竹内理三監修、新人物往来社、1984年3月。
川添昭二 著、日本歴史学会 編『北条時宗』 吉川弘文館〈人物叢書〉、2001年10月。
時山弥八編『国立国会図書館デジタルコレクション 稿本もりのしげり』1916年。
防長新聞社山口支社編 編『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修、防長新聞社、1966年3月。
復刻版 田村哲夫編修 編「本家萩毛利家」『近世防長諸家系図綜覧』三坂圭治監修（復刻版）、マツノ書店、1980年11月。

関連作品

NHK大河ドラマ『北条時宗』（2001年、演：高橋英樹）

関連項目

* 毛利氏

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