若二瀬唯之

若二瀬 唯之の生涯

若二瀬 唯之（わかふたせ ただゆき）は、1942年2月20日に愛知県幡豆郡一色町で生まれた元大相撲力士です。本名は戸嶋 忠輝（としま ただてる）で、1960年に大鳴戸部屋から大相撲界に足を踏み入れました。身長176cm、体重150kgの体格を活かし、主に右四つ相撲を得意として、押しや寄り技を駆使しました。

略歴と出世

若二瀬は、地元の佐久島中学校を卒業した後、名古屋市内の海産問屋で働いていましたが、18歳で上京し、大鳴戸部屋に入門します。1960年9月の場所で初土俵を踏んだ彼は、当初四股名を本名の戸嶋としていました。1963年に師匠である大鳴戸が朝日山を継承した際、彼も朝日山部屋の一員として活躍の場を広げました。

順調に昇進を遂げ、1964年3月には十両へ昇進し、1966年には入幕を飾ります。しばらくは幕内と十両を行き来しましたが、入幕後3度目の挑戦で幕内に定着。力士としてのスタイルも当初の押し一辺倒から、徐々に四つ相撲へとシフトしていきます。

1968年7月場所では、東前頭4枚目の地位で迎えた初日、彼は横綱・柏戸を破り、キャリアの中で唯一の金星を獲得。そこでは11勝を挙げ、殊勲賞も得るなど、輝かしい成績を記録します。翌場所には小結に昇進し、8勝7敗でその地位を維持しますが、その後は大敗が続き、関脇への昇進はかなわずに終わります。

引退後と激動の部屋

引退後は年寄・浦風を襲名し、その後すぐに朝日山部屋を継承しますが、師匠の急死により新たな困難に直面。部屋内では弟弟子との対立が激化し、トンガ王国出身の力士たちの帰国問題が発生しました。このトンガ騒動は国会で取り上げられるなど、大きな波紋を呼びました。

若二瀬はユニークな四股名を考案したことでも知られ、彼が育てた力士たちには大飛翔や玄海、岩手富士らがいます。また、後に歌手や俳優に転身した純烈の白川裕二郎も彼の指導を受けていた力士の一人です。

最期と影響

彼は1997年5月20日に急性心筋梗塞でこの世を去りました。55歳という早すぎる死であり、多くのファンや後輩たちに深い悲しみを残しました。特に、彼が亡くなった際、部屋の唯一の関取であった大飛翔が重傷を負い、葬儀に参列できなかったことも印象的でした。

朝日山部屋はこの急死により直系の後継者を失い、これまでの経緯を通じて、若二瀬の影響は未だに力士たちに語り継がれています。彼の記録には、1137番連続出場という驚異的な数字があり、これは多くの力士たちにとって目標の一つとなっています。若二瀬 唯之は日本相撲界における偉大な存在として、いつまでも記憶されることでしょう。

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