若嶌久三郎

若嶌 久三郎（わかしま きゅうざぶろう）

若嶌久三郎は1842年に福島県会津若松市で生まれ、本名は小沢久三郎。彼は大相撲史において、福島県出身の唯一の大関を務めた力士です。若嶌は、174cmの身長と113kgの体重を持ち、押し相撲を得意としていました。彼の相撲人生は多くの困難と挑戦で彩られています。

幼少期と相撲入り

若嶌は漆器塗師の家に二男として生まれ、幼少期から家業を手伝いながらも宮相撲で活躍していました。文久元年（1861年）、江戸に出て5代目楯山に入門し、同年10月の場所で初土俵を踏みました。彼は入門当初から数々の試合に出場しましたが、出世が遅れたのは慎重な取り口が影響したのかもしれません。明治3年（1870年）にようやく幕下十枚目に入ったものの、入幕までには時間がかかり、明治7年（1874年）には33歳に達していました。この時期には戊辰戦争で故郷会津に戻り、地元のために貢献しました。

入幕と大関昇進

入幕後、若嶌はその才能を発揮し、好成績を収めました。明治9年（1876年）1月場所では、東前頭3枚目の地位で8勝1分という優秀な成績を挙げ、翌年には小結、さらに同年12月には関脇に昇進します。その後、明治14年（1882年）には大関に昇進し、幕内では一度も負け越しを記録することなく活躍を続けました。

大関昇進を果たした若嶌は、その新しい地位で数々の名勝負を繰り広げました。特に印象的なのは、若嶌が大関梅ヶ谷を破った試合です。この試合は若嶌が出世の苦労を乗り越えた証でもあり、梅ヶ谷の58連勝を止める殊勲の星となりました。若嶌の勝利は、彼自身にとっても大変意義のあるものでした。

引退とその後

若嶌は明治17年（1885年）5月場所を最後に現役を引退し、年寄専務となりました。彼は弟子の育成に力を入れ、特に大坂相撲で横綱となった若島権四郎を育て上げたことで知られています。彼の血筋は相撲界に大きな影響を与え、その弟子たちもまた成功を収めていきました。

主な成績

若嶌の幕内在位は21場所、成績は104勝34敗15分4預53休で、勝率は.754という非常に高いものでした。また、明治9年と明治12年の2回、優勝相当成績を収めています。これらの成績は、彼の力量と努力の証であり、相撲界への貢献を物語っています。

若嶌久三郎は、数々の業績を残しながらも、福島県出身の力士としての誇りを持って生き抜いた人物でした。彼の生涯は、相撲界の歴史の一部として語り継がれていくことでしょう。

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