若藤部屋

若藤部屋の歴史

若藤部屋（わかふじべや）は、かつて存在した日本の大相撲の相撲部屋です。この部屋は、数世代にわたる相撲取りたちの努力と苦闘の歴史が込められています。それでは、その沿革について詳しく見ていきましょう。

初代と部屋の設立

若藤部屋は、伊勢ノ海部屋出身の若藤庄八によって設立されました。彼が初代の頭取を務めることから始まり、次いで3代若ノ森太吉がその背を押して部屋を発展させようとしましたが、残念ながらこの時点では力士を関取として輩出するには至りませんでした。

明治時代の転機

安政3年（1856年）、伊勢ノ海部屋に所属していた十両力士、荒飛甚太夫が5代若藤を襲名し、部屋の再組織が行われました。しかしこの新たな試みも短命に終わり、明治2年（1869年）に荒飛は死去し、所属力士たちは再び伊勢ノ海部屋に移籍してしまいます。

その後、5代の弟子である小結の荒虎敬之助が6代若藤として部屋を再興しましたが、明治15年（1882年）に現役のまま亡くなります。次に、弟子である幕内の上ヶ汐永吉が7代若藤を襲名し、部屋を引き継ぎましたが、彼もまた明治36年（1903年）に死去しました。

新たな希望と悲劇

次の転機は、上ヶ汐永吉の死後、伊勢ノ海部屋から友綱部屋に移籍した上ヶ汐福治郎が、明治40年（1907年）に関取に昇進したことです。これを機に、福治郎は8代若藤を二枚鑑札で襲名し、若藤部屋を再興しました。部屋は一時活気を取り戻したかに思われましたが、福治郎が現役を退いた後、大正末期に移籍してきた沖ツ海福雄を迎えたことで再び希望が見えました。

しかし、沖ツ海は関脇昇進、幕内優勝の快挙を達成し、大関昇進も期待される位置にいましたが、昭和8年（1933年）にはフグ中毒で急死。この出来事は、部屋にとって大きな打撃となり、希望はどこかに消えてしまったのです。

終焉とその後

昭和10年（1935年）、沖ツ海の弟弟子であり8代の娘婿にあたる越ノ海東治郎が9代若藤を二枚鑑札で襲名し、再び部屋を継承しました。東治郎は引退後、小戸ヶ岩龍雄を幕内まで育て上げましたが、戦後には小戸ヶ岩の廃業が影響し、若藤部屋はその運を閉じることになります。そして9代は伊勢ヶ濱部屋に所属して停年まで業務を続けることとなりました。

若藤部屋の歴史は、数多くの力士たちの夢と希望が交錯する場であり、また悲劇的な運命をたどった一面も持ち合わせています。日本の相撲界におけるその足跡は、後世に語り継がれることでしょう。

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