苦丁茶

苦丁茶（くうていちゃ/くちょうちゃ）とは

苦丁茶は、中国[[茶]]の一種で、一般的なお茶とは異なる独特の風味を持つお茶です。「丁」とは、茶葉をねじったような形状を指します。日本では、モチノキ科の植物である Ilex kudingcha の葉を加工したものがよく知られており、その名の通り、強い苦味が特徴です。健康茶として人気があり、世界中で様々な植物の葉が苦丁茶として飲まれています。

概要

苦丁茶として用いられる主な植物は2種類あります。一つは、Ilex kudingcha で、主に中国の四川省や日本で飲まれています。もう一つは、モクセイ科の植物である Ligustrum robustum で、中国の他の地域で広く飲まれています。近年では、Ligustrum robustum を改良した苦味の少ないタイプも市場に出回るようになり、四川省でも栽培されています。

一般的に、Ilex kudingcha の茶葉は大きく、Ligustrum robustum の茶葉は小さいという特徴があります。

歴史

苦丁茶は、古くから中国で飲まれてきた歴史があります。別名「瓜芦」とも呼ばれ、皋芦、過羅、拘羅、物羅など、様々な名前で呼ばれていました。8世紀に書かれた『茶経』には、後漢時代に書かれた『桐君録』に苦丁茶に関する記述があったと引用されており、この頃には既に飲まれていたことがわかります。ただし、古代の茶であったとする説もあります。唐代には、広東省や海南島で飲まれていたとされています。

明代に書かれた『本草綱目』には、「皋芦」の名前で掲載されており、「苦，，無毒」と説明されています。

味

苦丁茶は、その名の通り苦味が特徴です。しかし、良質な茶葉からは、爽やかな苦味とともに、甘みを感じることができます。特に厳選された茶葉では、口に含んだ瞬間に強い苦味を感じ、その後、爽やかな甘みが広がるという変化を楽しむことができます。

ただし、抽出時間が長くなると苦味が強くなるため、注意が必要です。また、等級の低い茶葉ほど、甘みが失われ、苦味が強くなる傾向があります。

等級

苦丁茶には、「特級」「一級」「二級」「三級」の4つの等級があります。等級が高いほど、味が良く飲みやすくなります。また、抽出された茶液の色（水色）も異なり、上質な茶葉で淹れた苦丁茶の水色は鮮やかな緑色をしています。放置すると褐色に変化します。

代表的な苦丁茶

一葉茶：茶葉をこより状に撚ったもので、棒状（葉巻型）が一般的ですが、輪の形のものもあります。
青山緑水：新芽のみで作られた苦丁茶で、苦味が少なく、茶葉も柔らかいため、お茶と一緒に食べることができます。希少価値が高く、種子や苗は中国国外への持ち出しが禁止されています。Ligustrum robustum の一種です。

日本語における呼称について

苦丁茶の日本語読みは統一されておらず、「くちょうちゃ」「くうていちゃ」「くていちゃ」「くちんちゃ」など様々な呼ばれ方をしています。また、中国語の発音に近い「クディン」「クーディン」と表現されることもあります。

成分

苦丁茶には、トリテルペンやその配糖体（サポニン）などの苦味成分が含まれています。また、ウルソール酸、β-アミリン、ルペオール、タラキセロール、ウバオールなどのトリテルペンや、β-シトステロールなどのステロイドも報告されています。

その他、モノテルペン配糖体やそのクマル酸エステル、クロロゲン酸類、フェニルエタノイドの配糖体およびそれらの糖エステルなどのポリフェノール類も含まれています。緑[[茶]]と比較してカテキン類は少ないですが、ルチンはより多く含まれています。また、モチノキ科植物の苦丁茶は、亜鉛、マンガン、銅、セレンなどのミネラルを緑[[茶]]より多く含んでいます。一方、アミノ酸やビタミンCは緑[[茶]]より少なく、カフェインは含まれていないとされています。

効用

中国では、苦丁茶は生薬として、風熱を解消し、頭痛や眼精疲労を取り、解毒作用があるとされています。そのため、風邪や鼻炎、目のかゆみ、赤目、頭痛の際に飲まれることがあります。解熱や下痢止め、痰を取り、咳止めにも効果があるとされ、気管支炎や消化を助け、気力や記憶力を充実させる効果も期待されています。

近年の研究では、Ilex と Ligustrum のいずれにも、血液循環を促進し、血圧を下げ、コレステロールなどの血中脂質を減らす効果があることが確認されています。そのため、心臓や脳機能の悪化を防ぎ、適度な体重を保つ効果が期待されています。また、L. robustum には炎症を抑え、体の酸化を防ぐ効果も見られています。

関連項目

* マテ[[茶]]：Ilex kudingcha と同科同属のイェルバ・マテ（Ilex paraguariensis）から作られるお茶です。

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