范源濂

范源濂（はん げんれん）：近代中国教育の礎を築いた教育者

范源濂は、清末から中華民国初期にかけて活躍した教育者であり、政治家です。字は静生といい、変法派の一員として清末の政治改革運動に身を投じ、中華民国成立後は教育総長として近代教育制度の確立に大きく貢献しました。

変法派としての活動

范源濂は、当初は塾教師として活動していましたが、1898年に湖南巡撫の陳宝箴が創設した時務学堂で学び、梁啓超の薫陶を受けました。この時、変法思想に共鳴し、戊戌の政変後には官憲に追われる身となります。その後、上海や日本に逃れ、南洋公学、大同学校、東京高等師範学校、法政大学などで学びました。法政大学では、梅謙次郎総理に働きかけ、清国からの留学生のために法政速成科を設置させました。

1904年に帰国すると、留学事業に携わり、その後は清朝の学部で学制整備などの教育事業に携わりました。

中華民国教育制度の整備

中華民国成立後、范源濂は梁啓超派として天津で国民協進会の設立に尽力し、常務幹事を務めました。その後、共和党、進歩党の幹部としても活躍します。北京政府では、初代教育総長の蔡元培の下で教育部次長に就任し、新式教育の改革を推進しました。蔡元培が辞任した後、范源濂が後任の教育総長となり、「学制令」、「小学校令」、「師範学校令」などの法令を整備し、近代教育の基礎を築きました。しかし、1913年に病のため教育総長を辞任し、その後は中華書局で教科書編集に携わりました。

北京師範大学校長として

袁世凱死後、范源濂は再び教育総長に就任し、内務総長も兼任しましたが、政争に巻き込まれ辞職しました。その後、欧州へ教育視察に赴き、帰国後は北京師範大学の校長に就任し、教育者養成に尽力しました。その後も中華教育基金会会長として、教育事業に貢献しました。

その後

范源濂は、1927年12月23日に天津で病没しました。享年54歳。その生涯を通じて、教育の重要性を訴え、近代中国の教育発展に多大な貢献をしました。彼の残した功績は、現代中国の教育にも大きな影響を与え続けています。

参考資料

熊尚厚「范源濂」中国社会科学院近代史研究所『民国人物伝 第11巻』中華書局、2002年。
徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。
* 劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。

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