茨田屯倉

茨田屯倉（まむた の みやけ／まんた の みやけ）

茨田屯倉は、大和朝廷が設置した直轄地であり、河内国に位置しています。この屯倉は、古代日本の農業政策と地域開発の重要な一環を示しています。

概要

茨田屯倉は『日本書紀』の巻第十一に初めて言及されており、仁徳天皇の治世に設立されたとされています。この土地は現在の大阪府交野市、特に交野郡の三宅郷として特定されており、ここでの農業開発が進められました。

仁徳天皇11年4月、天皇は臣下に向けて詔を宣言し、農業の振興に向けた計画について触れます。その後、数か月の内に大規模な土木工事が実施され、耕地の拡大が行われました。このことは、屯倉が設置されるまでの経緯を示しており、以降も和珥池や依網池、横野堤など、さらなる土木工事が行われていきました。

設立の過程

このような開発の流れは、古代の文献『古事記』や『日本書紀』に記されています。特に、『書紀』に記された事とは、農業の発展だけでなく、秦氏や茨田氏といった渡来氏族がもたらした技術力による影響も示唆しています。これらの氏族は、大和政権の農業政策に重要な役割を果たしました。現在の寝屋川市に見られる地名（秦町、川勝町、太秦町など）も、これらの氏族の存在を物語っています。

その後の経緯

茨田屯倉は、さらに後の時代にも文献で取り上げられています。『日本書紀』巻第十八には、宣化天皇の治世において再び言及され、筑紫国における官家の建設のために、各地から穀物が運ばれていました。この時、茨田屯倉は最初に挙げられており、重要な穀倉としての役割を果たしていたのです。

また、茨田屯倉の灌漑を目的とした茨田池の建設についても、『日本書紀』の巻第二十四に見ることができます。このように、屯倉は地元の農業発展だけでなく、広域的な農業政策の中でも中心的な役割を持っていたと考えられます。

脚注

茨田屯倉の設立とその後の歴史は、日本の古代史において重要な位置を占めています。屯倉制度は、中央集権的な国家形成の一環であり、農業と経済の発展をもたらしました。

参考文献

• - 『日本書紀』（二）- (四)、岩波文庫、1994年 - 1995年
• - 『日本書紀』全現代語訳(上）・（下）、講談社学術文庫、宇治谷孟：訳、1988年
• - 『岩波日本史辞典』p1082、監修：永原慶二、岩波書店、1999年
• - 『角川第二版日本史辞典』p905、高柳光寿・竹内理三：編、角川書店、1966年
• - 『日本の歴史1　神話から歴史へ』、井上光貞：著、中央公論社、1965年
• - 『毎日グラフ別冊　古代史を歩く7 河内』、毎日新聞社、1987年より「古代河内の中の朝鮮文化」文：朴鐘鳴・「河内平野のおいたち」文：景守豊・景守紀子

関連項目

• - 河内湖
• - 茨田郡
• - 茨田衫子

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