草木トンネル (道路)

草木トンネルの詳細

草木トンネルは、静岡県浜松市天竜区水窪町に位置する、全長1311メートルの国道152号のトンネルです。1992年に竣工し、1994年に開通しました。その特徴的な線形は、逆S字型を描いています。

建設の経緯

草木トンネルは、当初、静岡県と長野県の県境にある青崩峠を迂回する目的で、三遠南信自動車道（国道474号）の一部として建設されました。この建設プロジェクトは、非常に困難なものでした。脆い地質と高圧帯水層による異常出水に悩まされ、総工費は2.2キロメートルのトンネルとその前後の取り付け道路を含めて180億円、つまり1キロメートルあたり80億円を超えるという莫大な費用を要しました。この難工事は、中央構造線をトンネルで貫くことの困難さを如実に示しました。

しかし、この工事の経験を踏まえ、1997年に建設予定ルートの地質調査が改めて実施された結果、トンネルの先の区間、すなわち兵越峠の下、中央構造線外帯側が極めて脆弱な地盤であることが判明しました。このため、高速道路としての基準を満たさないと判断され、計画の見直しが行われることになりました。

2008年までに、三遠南信自動車道の計画は、水窪から地盤が比較的安定している中央構造線内帯側、すなわち青崩峠の西側を通るルートに変更されました。この変更に伴い、青崩トンネルが新たに建設されることになり、草木トンネルは自動車道の一部としての役割を終えることになりました。

一般道への格下げ

自動車道計画の変更を受け、2008年から2009年にかけて、草木トンネルはそれまでの高規格構造（1種3級）から、歩道を付した一般道路（3種3級）へと格下げされるという、異例の工事が行われました。この格下げに伴い、制限速度は時速60キロメートルから50キロメートルに引き下げられ、案内標識も緑色のものから青色のものに変更されました。

2015年4月1日には、トンネルの管理が国道474号から国道152号に移管され、浜松市の管理下となりました。一般道となった草木トンネルは、国道152号の不通区間（青崩峠）を迂回するための兵越林道へのバイパスとしての役割や、地域の生活道路として活用されています。

脚注

この情報は、以下の参考文献や関連情報に基づいて作成されました。

佐藤健太郎『ふしぎな国道』講談社〈講談社現代新書〉、2014年。ISBN 978-4-06-288282-8。

関連項目

青崩峠道路
兵越峠

外部リンク

青崩峠道路懇談会への報告 国土交通省 浜松河川国道事務所・飯田国道事務所 2005年12月（2010年4月4日アーカイブ） - 国立国会図書館Web Archiving Project
草木トンネル工事記録 / Kusagi tunnel construction record - 飛島建設 YouTubeチャンネル 2022年10月21日公開
「「草木（くさき）トンネル」が三遠南信自動車道として建設されたものの国道152号に編入された経緯と「青崩（あおくずれ）トンネル」建設の経緯について知りたい。」（県立長野図書館） - レファレンス協同データベース

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