荒埼 (給糧艦)

荒埼（あらさき）：日本海軍の運送艦

荒埼は、日本海軍における給糧艦の一隻であり、杵埼型給糧艦の中の一部として位置づけられています。艦名は日本各地にある岬の名前に由来しており、具体的には鶴岡市や三浦半島、宮崎県志布志湾などの地名が挙げられます。

艦設計と歴史

荒埼は昭和16年（1941年）度に雑役船としての計画が立てられ、その後1942年（昭和17年）11月10日に大阪鉄工所桜島工場で起工されました。艦名は1943年（昭和18年）2月5日に付けられ、同日、特務艦として運送艦のカテゴリーに加えられました。進水は同年2月27日に行われ、5月29日に竣工。荒埼はその日から運送任務に就き、連合艦隊に編入されました。

第二次世界大戦での活動

太平洋戦争中、荒埼は主に食料の補給や輸送活動に従事しました。7月18日には佐伯を出港し、ラバウル方面に向かい、糧食の補給任務に参加しました。9月19日には「りおん丸」を護衛し、スラバヤへと向かいましたが、11月2日にはラバウルに入港する際に敵機の攻撃を受けて損傷を被ります。その後、修理のためスラバヤに入港し、12月14日には再びラバウルへ食糧を補給するための任務を行いました。

1944年に入ると、荒埼はスラバヤを出港し、パラオやダバオ方面の補給任務にも従事しました。4月にはリンガやタウィタウィでも機動部隊への食料補給を行い、8月27日にはシンガポールに入港して修理を受けています。その後、サイゴン、リンガ、ブルネイといった方面でも任務に励みました。

戦後の運命

1945年2月1日、荒埼はスラバヤ西方で触雷し、航行不能に陥りましたが、修理後にバリ島への補給を2回実施。終戦時にはスラバヤに所在していました。1945年10月5日に除籍された後、1946年には特別輸送艦に指定され、復員輸送に従事しました。連合国への引渡しにおいては、回航員の帰国に際しても利用されています。

引渡しの過程では1947年から1948年にかけての複数の引渡しが行われました。特に第3回の引渡しではナホトカに到着した後、艦艇の引渡しが行われました。その後、荒埼は一旦米国に引き渡され、1948年に日本に戻されました。

最後の変遷

1948年には農林水産省へ移管され、練習船『海鷹丸』としての役割が与えられました。1955年8月には解役され、大蔵省へ返還されました。1956年には民間企業に売却され、その後数度の改造を経て『高知丸』、『なにわ丸』と名称を変え、日韓航路に就航。1967年にはフィリピンの商会に売却され、艦生涯を閉じることとなりました。

荒埼の艦歴は、戦時中の困難な任務や戦後の変遷を通じて、日本の海軍としての重要な一端を担ったことを物語っています。

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