菅原定義

菅原定義：平安時代の貴族と学者

菅原定義は、平安時代中後期を彩った貴族にして学者です。従四位上まで昇りつめ、大学頭という要職を歴任しました。さらに、死後には従一位の位階を贈られるなど、その功績は高く評価されています。

名門の出身と華麗なる経歴

菅原氏は、代々大学頭や文章博士を輩出してきた名門中の名門。定義は、右大臣として名を馳せた菅原道真から数えて6代目にあたります。その家柄に加え、定義の同母姉妹には、名高い随筆『更級日記』の作者である菅原孝標女がいます。

定義自身も、優れた才能を発揮し、数々の役職を歴任しました。式部少輔、民部少輔、弾正少弼、少内記、大内記と、朝廷の中枢を担う要職を歴任したのち、大学頭、文章博士にまで上り詰めます。

永承4年（1049年）、和泉守として地方官に赴任した際には、妹の孝標女が和泉を訪ねてきたという記録も残っています。姉妹の絆が感じられるエピソードです。

康平7年（1064年）、64歳で生涯を閉じました。しかし、定義の功績は死後も高く評価され続けました。寿永3年（1184年）には従三位、乾元元年（1302年）には正二位、そして元徳2年（1330年）には従一位と、段階的に位階が贈られています。これは、朝廷がその学識と貢献を後世にまで称えた証と言えるでしょう。

具体的な官歴

定義の官歴を時系列で見ていくと、その充実したキャリアが分かります。
時期不詳：文章得業生
治安2年（1022年）：備前掾
万寿4年（1027年）正月7日：見内記
長元4年（1031年）8月3日：見弾正少弼
長暦3年（1039年）12月15日：見弾正弼
永承4年（1049年）冬：和泉守
永承5年（1050年）7月21日：見和泉守正五位下
天喜2年（1054年）10月：文章博士
* 康平6年（1063年）11月8日：見従四位下行大学頭兼文章博士
これらの記録から、定義が着実にキャリアを積んでいった様子がうかがえます。

家族と子孫

『尊卑分脈』によると、定義の父は菅原孝標、母は藤原倫寧の娘です。妻は藤原相任の娘で、複数の男子をもうけています。

その中でも、菅原是綱（1030-1107）と菅原在良（1041-1121）は特に著名です。是綱の子孫は、高辻家、五条家、東坊城家といった名家につながり、在良の子孫は唐橋家という家系を築きました。

他にも、菅原清房、菅原正長、菅原忠章、菅原輔方、菅原茂富、定快など多くの男子がおり、菅原氏の繁栄に貢献したと考えられます。

まとめ

菅原定義は、名門・菅原氏に生まれ、優れた才能と努力で数々の役職を歴任した、平安時代を代表する貴族・学者でした。『更級日記』作者の孝標女という著名な姉妹を持つことでも知られ、その生涯は、平安時代の貴族社会の一端を垣間見せてくれます。また、子孫が後の世にも大きな影響を与えたことから、その存在は平安時代のみならず、日本の歴史において重要な意味を持つと言えるでしょう。

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