東坊城家

東坊城家：学問と朝廷、そして映画界に繋がる華麗なる家系

東坊城家（ひがしぼうじょうけ）は、悠久の歴史を誇る公家・華族の家系です。そのルーツは、名門・菅原氏五条家の支流に遡ります。公家としての家格は半家、華族としては子爵家に列せられました。

封建時代の栄華と変遷

東坊城家の始まりは、五条長経の次男・茂長にまで遡ります。茂長は、当初坊城を名乗っていましたが、孫の代に東坊城と改称されました。兄弟の1人は西坊城を名乗ったと伝えられています。

東坊城家は、他の菅原氏系公家と同様に、紀伝道や詩文を家業とし、代々文章博士や天皇の侍読を務めました。学問への造詣が深く、朝廷に貢献してきたことが分かります。興味深いことに、菅原氏長者となった人物を複数輩出している点も特筆に値します。

室町時代には、東坊城益長が正二位権大納言に昇進、これが同家の極官となりました。戦国時代には一条家の家札となり、江戸時代には301石の家禄を有し、西院参町に居住していました。幕末には、東坊城聡長が武家伝奏を務めたものの、日米修好通商条約締結の際に朝幕間の板挟みとなり、永蟄居を余儀なくされるなど、激動の時代を生き抜きました。

明治維新後の子爵家と新たな展開

明治維新後、華族制度が成立すると、東坊城家は公家として華族に列せられました。1884年（明治17年）の華族令施行により、子爵位を授かります。東坊城徳長は子爵位を継承し、貴族院議員にも2期当選するなど、政治にも関与しました。

興味深いのは、徳長の娘婿である入江たか子（旧姓東坊城英子）をはじめとする、映画界に貢献した子孫の存在です。戦前の映画界で活躍した入江たか子や、東坊城恭長（徳長の息子で、映画俳優・脚本家・映画監督）など、東坊城家は芸能界にもその名を刻んでいます。

徳長の後を継いだ政長は、関東大震災で家屋敷を失うなど、苦難を経験しました。その後、東坊城家の住居は神奈川県鎌倉へと移りました。

系譜と現在

東坊城家の菩提寺は京都市上京区の浄福寺です。戦後には、徳長の三女である英子が、多磨霊園に家名の五輪塔を建立しています。

このように、東坊城家は、学問・朝廷・そして映画界と、多岐にわたる分野で活躍した歴史を持つ家系であり、その足跡は現代にも受け継がれていると言えるでしょう。 その栄光と苦難の歴史は、日本の近代史を彩る重要な一章を担っていると言えるでしょう。

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