菅沼五郎

菅沼五郎の概要

菅沼五郎（すがぬま ごろう）は、日本の著名な彫刻家であり、1905年に愛知県豊橋市で生まれました。彼の作品は多様で、主に彫刻を中心とするもので、そのキャリアは長いものでした。1999年に亡くなるまで、彼は日本の美術界に大いに貢献しました。

経歴の歩み

菅沼は、銀行家の家庭に生まれ、幼少期から美術に興味を持ちました。上京後、東京美術学校に入学し、著名な彫刻家である朝倉文夫の指導を受けました。彼は池袋モンパルナスに位置する「桜ヶ丘パルテノン」にアトリエを構え、創作活動に励みます。

1941年には、雑誌『婦』で開催される第4回新文展において特選を受賞し、作品が高く評価されました。この受賞をきっかけに、彼の名前は広く知られるようになります。

1950年、菅沼は新たに設立された二紀会に彫刻部メンバーとして参加。翌年には彫刻部の新委員に就任し、その後も精力的に活動を続けました。彼は1952年に池袋モンパルナスから藤沢市鵠沼海岸へと転居し、さらなる作品制作に取り組みましたが、晩年まで池袋のアトリエにも通い続け、創作に情熱を注ぎました。

1968年、彼の作品は第22回二紀会展で展示され、文部大臣奨励賞を受賞しました。その後も、二紀会の副理事長として美術界に影響を与え続けました。また、地元の鵠沼公民館で美術指導を務め、黒崎義介と共に「湘南美術研究会」を設立し、次世代のアーティストを育成することに尽力しました。

代表的な作品

菅沼は数多くの作品を手がけ、そのスタイルは多岐にわたりました。彼の代表作には以下のものがあります。

• - 山崎軍神像（1944年）: アッツ島の戦いで知られる山崎保代中将をモデルにした彫刻。
• - 敢闘像（坑夫の像）（1955年）: 北海道の上砂川町にある「かみすながわ炭鉱館」の前に置かれた作品で、共同制作によるもの。
• - ボート遭難像（1964年）: 鎌倉の稲村ヶ崎公園にある慰霊像で、1910年に発生したボート遭難事故を記念した作品。
• - 名誉市民片山哲先生像（1972年）: 藤沢市民会館前に設置された片山哲の像。
• - 飛翔（1981年）: 鵠沼公民館の外壁を飾る装飾彫刻。
• - 夢の女（1982年）: 平塚市文化公園にある作品で、その美しさが多くの人々に愛されています。
• - 聶耳没後五十周年記念レリーフ（1986年）: 鵠沼海岸湘南海岸公園内に設置されたレリーフ。

私生活と影響

菅沼の妻、幸子は大杉栄と伊藤野枝の次女であり、複雑な背景を持つ人物です。彼女は生後間もなく養子に出されましたが、彼女の家族もまた美術や文化に深く関わっていました。菅沼が創作活動を続ける中で、妻の存在は大いに支えとなったのでしょう。

菅沼五郎は、数多くの作品を通じて日本の彫刻界に名を刻むとともに、次世代の芸術家たちに影響を与えました。彼の遺したものは、今もなお多くの人々に愛され続けています。1999年4月19日、93歳で亡くなりましたが、その作品は永遠に人々の記憶に残ることでしょう。

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