菟足神社

菟足神社（うたりじんじゃ）

愛知県豊川市小坂井町字宮脇に位置する菟足神社は、古くから人々に親しまれている神社です。この神社は式内社とされ、かつての社格は県社に属していました。菟足神社の祭神は、菟上足尼命（うなかみすくねのみこと）であり、彼は孝元天皇の子孫である葛城襲津彦命の四世の玄孫です。このことから、神社は歴史的にも非常に意義深い存在となっています。

歴史

祭神である菟上足尼命は、雄略天皇の治世に穂の国（現在の東三河）で国造として任命されたと伝えられています。彼の先祖である葛城襲津彦命は、仁徳天皇の皇后である磐之姫媛命の父にあたることから、大和国葛城の名門のように強い権力を持っていたとされます。菟上足尼命は、亡くなった後に顕著な業績と民を治めた功績により、三河国平井の柏木浜に奉斎されました。天武天皇の治世には、白鳳15年（686年）4月11日に現在の地に遷座されました。

貞観6年（864年）には、神階が従五位下に進められ、その名は延喜式神名帳にも見られます。明治時代には、天皇の巡幸を受けるなど、神社の権威は高まりました。明治11年（1878年）には有栖川宮熾仁親王から社号軸が贈られ、さらに大正7年（1918年）には郷社から県社に昇格しました。

祭礼

菟足神社では、文化的な伝統を色濃く残す祭礼が行われています。代表的な祭りは「風まつり」であり、毎年4月の第2土曜と日曜日に行われます。この祭りでは手筒花火や打ち上げ花火が奉納され、山車も出る華やかな催しとなっており、地元の風景に彩りを添えています。また、こざかい葵風館の名称の由来にもなっています。

もう一つの重要な祭りは「田まつり」で、旧暦の1月7日には神社で盛大に行われます。これらの祭りは、地域の人々にとっての絆や伝統を再確認する機会となっています。

文化財

菟足神社は貴重な文化財も有しており、国家指定の重要文化財があります。特に「大般若経」の内版本9巻は1961年（昭和36年）に指定され、歴史的な価値が評価されています。また、愛知県指定有形文化財には「梵鐘」や「菟足神社祭礼古面」が含まれ、それぞれ1964年（昭和39年）および1965年（昭和40年）に指定されました。そして、無形民俗文化財としては「菟足神社田祭り」が1954年（昭和29年）に指定されています。

現地情報

菟足神社の所在地は愛知県豊川市小坂井町字宮脇2番地の1です。交通の便も良く、最寄りのJR東海道本線小坂井駅からは徒歩で約5分の距離です。また、名鉄名古屋本線の伊奈駅からも徒歩約20分で到達できます。

神社の境内は美しく整備されており、訪れた人々に静謐な空間を提供しています。神社に関する最新情報は、地元の観光協会などで確認することができます。

このように、菟足神社はその豊かな歴史や文化を孕んだ魅力ある場所であり、地域に深く根付いています。

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