萬福寺 (飯能市)

萬福寺（まんぷくじ）

萬福寺は、埼玉県飯能市永田に位置する新義真言宗豊山派の寺院です。大黒山観音院と号し、高麗三十三ヶ所観音霊場の第14番札所として知られています。地元では万福寺とも呼ばれています。

概要

本尊は聖観世音菩薩で、行基の作と伝えられています。この観音像にちなみ、観音院という院号が付けられました。また、甲子大黒天も祀られており、「永田の甲子様」として地域住民に親しまれています。大黒天は弘法大師（空海）が彫ったと伝えられ、大黒山の山号の由来となっています。現在、弘法大師作の大黒天は残っていませんが、江戸時代末期に新門辰五郎が来寺した際に安置されたものが伝わっています。

『飯能郷土史』によると、安政年間（1854年 - 1860年）には江戸からも多くの参詣者が訪れるほど信仰を集めていました。1978年からは、現住職が大聖歓喜天を奉持しています。

歴史

萬福寺の開山年代は不明ですが、戦国時代末期に澄意によって再興されました。寛永4年（1627年）の鐘の銘には、千木氏が天文11年（1542年）に再営したという記述があります。『新編武蔵国風土記稿』の永田村の項には、中興開山の澄意が天正年間（1573年 - 1593年）に没したと記されています。

元々は紀州根来山清浄金剛院の末寺でしたが、元禄10年（1697年）に江戸護国寺の末寺となりました。慶安2年（1649年）には、観音堂領として3石の朱印を与えられています。

江戸時代には白鬚神社の別当を務めていました。『新編武蔵国風土記稿』には、「萬福寺　大黒山と號す、新義真言宗、江戸護持院末なり」とあります。『武蔵国郡村誌』の永田村の項には、「万福寺　東西三十一間南北三十五間面積千八十五坪村の北方にあり新義真言宗東京護国寺の末派なり天正二年僧澄意再興す」と記されています。明治9年（1876年）には、境内に公立小学校が置かれていました。

境内

境内には、本堂、庫裡、山門、鐘楼、石燈籠などがあります。江戸時代中期の梵鐘は、生類憐れみの令に関わる民話が伝えられています。

行事

『埼玉宗教名鑑』によると、初甲子大黒祭（1月5日）と歓喜天縁日（9月16日）が主な行事です。『飯能市史』によれば、初甲子祭（1月）のほか、12年目ごとに御開帳と甲子大黒天祭が行われます。

所在地

埼玉県飯能市永田

関連項目

白鬚神社 (飯能市永田)

外部リンク

萬福寺 - 飯能市

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