落下傘候補

落下傘候補とは

「落下傘候補」とは、主に地方区制の国政選挙や都道府県知事選挙において、その土地に地縁・血縁のない人が立候補すること、またはその候補者自身を指す言葉です。文字通り、まるでパラシュートで舞い降りてくるかのように、突然その土地に現れるイメージから名付けられました。

落下傘候補の目的

落下傘候補を立てる目的は様々です。

テコ入れ: 元中央官庁の上級官僚や、政党の有力幹部、知名度のあるタレントなどを擁立し、選挙区の勢いを増す。
候補者調整: 複数の候補者がいる場合に、一本化を図るための配置換え。

落下傘候補への批判

一般的に、落下傘候補はその土地との繋がりが薄いため、対立候補や地元住民からは「地域の現状を理解していない」と批判されることがあります。選挙に必要な「地盤（後援会）」が弱い場合も多く、選挙活動に苦戦を強いられることもあります。

また、急な立候補の場合、候補者自身がその選挙区での選挙権を持っていないケースも見られます。

日本での実例

日本共産党: 1996年の衆院選では、東京や近畿に地盤のある現職議員や候補者を、東北・北関東・東海・中国・九州沖縄のブロックに割り振り、議席増に成功しました。2020年現在では、福岡市出身で京都大学卒業の藤野保史氏が、比例北陸信越ブロックから当選しています。
自由民主党: 2005年の衆院選では、郵政民営化法案に反対した議員に対し、公認を与えず、代わりに「刺客候補」と呼ばれる落下傘候補を立てました。これは、当時の総裁であった小泉純一郎氏の主導によるもので、一定の成果を挙げました。

世界の例

イギリス: 庶民院（下院）では、選挙区に土着した候補者よりも落下傘候補の方が多くなっています。これは、19世紀に問題となった腐敗選挙区を解消し、政党本位の選挙制度へと移行する過程で確立されました。
アメリカ合衆国: 南北戦争前には、南部へ乗り込む北部人（カーペットバッガー）が目立ちました。現在では「カーペットバッガー」という言葉は、落下傘候補を指す侮蔑語として使われています。
共産主義国: ヘゲモニー政党制を採用する国では、候補者は党中央の指名によって決まるため、選挙区に土着している必要がなく、全候補者が落下傘的に選挙区を割り当てられることがあります。北朝鮮の最高人民会議が良い例です。

関連項目

選挙
地縁
ゲリマンダー
* 移住・帰郷運動

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