葛山城 (信濃国)

葛山城

葛山城は、現在の長野県長野市鑪に位置していた山城です。この城は、戦国時代の激しい戦乱の中で、その歴史を刻みました。

歴史

葛山城は、天文24年（1555年）に、長尾景虎（後の上杉謙信）によって築かれました。当時、武田晴信（後の武田信玄）に帰順した栗田氏が旭山城に籠城したため、その対抗策として、裾花川の対岸の葛山に築かれたのです。しかし、弘治3年（1557年）には、武田氏によって攻略されることとなります。

落城の際、真田幸隆の調略によって、葛山城の中腹にある静松寺を通じて落合一族が寝返り、また、水の手を絶たれた上で、馬場信春らの攻撃を受け、城は陥落しました。城将の落合治吉（落合備中守）や援軍の将であった小田切駿河守幸長は戦死し、多くの城兵が命を落としたと伝えられています。特に、城から逃げ場を失った女性たちは、峰から谷に身を投じて全滅したという悲劇的な伝説が残っています。

落城後、長沼城の島津月下斎は大倉城へと避難し、戸隠山の人々も武田方と上杉方に分かれて、多くの人々が越後へと逃れたとされています。

伝承

葛山城は、建武年間に葛山衆の落合氏によって築かれたという伝承もあります。弘治3年の落城の際には、武田軍が1万7千の軍勢で裾花川を塞ぎ水攻めを試みましたが、葛山の岸壁から流れ落ちる滝には効果がなかったとされます。しかし、武田軍に加わっていた栗田永寿が静松寺の住職から城の水利について聞き出し、「兵糧米を滝のように見せかけている」という情報を得て、火攻めを行ったという伝説があります。このことから、静松寺の住職は葛山に登ると狂死するという言い伝えが残っています。

また、葛山城の落城の際に火攻めを受けたため、倉跡からは焼けた米が出てくるという話や、城に籠もっていた婦女子が絶壁から身を投げた場所が「姫谷」と呼ばれているという話も伝わっています。

端午の節句には、葛山の山頂に赤い旗が翻るのが松代町から見えるという不思議な現象も伝えられていますが、松代町以外からは見えないとされています。

遺構

現在、葛山城址には、「市指定史跡　葛山城跡」と刻まれた石碑と、説明案内板が設置されています。主郭跡には土塁は見られませんが、切岸が深く、鋭い地形が残っています。山頂からは、近隣の大峰城を遠望することができます。

アクセス

葛山城跡へは、JR北陸新幹線長野駅からアルピコ交通バスに乗り、「横棚」バス停で下車し、徒歩約50分でアクセスできます。また、上信越自動車道長野ICからは、車で約45分です。

参考文献

杉村顯著『信州の口碑と伝説』信濃郷土誌刊行会、1933年
信濃史学会編 『信州の山城 信濃史学会研究叢書2』 1988年
南原公平 著『信州の城と古戦場』 しなのき書房 2009年

関連項目

旭山城
大峰城
上杉謙信
川中島の戦い
川中島
* 日本の城一覧

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